『Voices』『Puzzle』に続く、歌詞なし多重コーラスもの第3弾。前2作に比べて民族テイストなどマニアック要素を薄め、軽く明るくしたそうだけど……嘘です。ジャケット絵に騙されてはいけない。いや前2作に比べれば、ポップには違いないんだけどさ。
最初は1日の始まりにふさわしく明るくポップな感じ……と思うと、ラッシュアワーの緊迫感、うららかな日差し降る庭園、無機質な高層ビル群――と、めまぐるしく変わる街を切り取っていく。
それらを描く声はますます多彩に。ブルース?ジャズ?ばりのだみ声、あとオペラ調も今回初登場かな? うがいやあくびまであるでよ。民族ヴォイスも実は健在で嬉しい。
そして曲のジャンルもますます不明に。個人的趣味でエレクトロニカや音響系あたりが印象に残るけど、クラシックとかの要素もあるようで。
全体的には、ここ最近のワークの集大成という感じもする。時にコミカルな曲調は『*2』、ポップな部分は『ガメラ』の前半部分、アンビエントは『ドルフィンブルー』の曲を思い出させる。多重コーラス前2作のような統一感はなく、その代わりあの手この手でさまざまな表現を生み出している。「ここでこう来るか!」が多くて聴き応えあり。
あと、曲タイトルになっている東京都内の地理が分かるとちょっと楽しい。個人的に、track9(西新宿)の神がかった感じが好き。都庁のツインタワーを頂点にしたビル群は、無性に「人でない領域」を思わせる。でもtrack6(代官山)は分からない……「女性に人気のおしゃれな街」というイメージとはほど遠い、廃墟のようなコーラスと男声ヴォイス。でも曲としては一番好きだったり。
と、相変わらず説明不能で迷宮のような音世界。TOKYO散歩のBGMというより、怒濤のTOKYOツアーに連れていかれます。
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