IONA『The River Flows』

 初期のアルバム3枚(一部リマスタリング)+ボーナスCDの4枚組アンソロジー。初期のアルバムはいずれも廃盤になって久しかったので、最近ファンになった人には待望の復刻。また、IONA自身のレーベル・OPEN SKY RECORDSから初のリリース作品でもあるようで。
 通して聴くと、デビューから今のIONAにつながる軌跡が鮮やかに浮かび上がります。といっても、デビューの頃から劇的に変化しているわけではなく、むしろ当時から今の形がほぼできあがっており、しかも完成度も高かったことに驚き。デビューが1990年ということは、12年前から既にこんなすごいもんつくってたのかと。最近のファンでも裏切られないはず。以下、それぞれのアルバムについて感想など。
『 IONA 』 (1st)
 ヴォーカルはロック色が強くて(あと唸りがきいてて(笑))ちょっとびっくり。インスト曲はややケルトや他の民族色があるものの、やはりポピュラーロック(と呼ぶのか?)寄り。エレクトリックギターやサックスが結構前面に出てきているからかな。
 個人的には、天安門事件をきっかけにつくられたというtrack8が好きだなー。中国の笛とかも使われていてオリエンタルムード。初期ならではのいろんな側面を聴けるアルバムかも。
『 The Book of Kells 』 (2nd)
 ケルティック、ロック、時にシンフォニック……それらが自然に融合した独自の世界。IONAの方向が固まりつつあった、のかな? ここら辺からは、「これが最新作です」と言われても多分わかんない。のは私だけか?
 序盤に奥行きを増したヴォーカル曲、そして中盤からクライマックスに向けて盛り上がるインスト曲、その頂点に力強いヴォーカル曲再び。「ケルズの書」をモチーフに、十数曲が一大叙情詩を繰り広げる。ありがちな表現ですまんが(笑)まさにそんな感じ。全体的にほわーんと響くシンセの音が耳に残ります。
『 Beyond These Shores 』 (3rd)
 メンバーチェンジがあったそうで、そのせいかちょっとロック色が薄くなったかな? パーカッションが目立つようになったし。ヴォーカル曲、とりわけバラードが増えて、Joanne Hoggの力強い美声が存分に堪能できます。インスト曲も変わらずスケール間のあるロックだけど、以前より音が柔らかくなった気がします。
『 Dunes 』
 アルバム未収録曲やライブ音源を集めたボーナスCD。前半はドキュメンタリー番組のために書き下ろしたインスト曲集で、しっとりハープで聴かせる曲もあれば、いつも通りダイナミックなエレクトリックギターで攻める曲もあり、美しいコーラスワークあり、泣きのイーリアンパイプあり……民族もの好きな人にも受けそう。
 後半はライブでおなじみのナンバーや、代表曲の別バージョンなど数曲。ノリのいいダンスチューンを聴いていると、ライブに行きたくなります。

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