上野洋子/asterisk『“YK20”~20周年につき初ソロ~[audio]』

 2006年12月に行われたライブから11曲(メドレーがあるので実際の曲数はもっと多い)をセレクト。ライブでは「ポップス」をキーワードに、個人のソロアルバムだけでなくzabadakやVita Nova、アニメや映画に提供した曲など幅広く演奏されたのだけど、その中でも今回は本人中心度が高い(企画ものや他人の依頼で書いたものではない)選曲になっており、ベストアルバムといってもいいかも。

 原曲から大幅にアレンジを変えたものや、原曲では本人が歌っていないものがあるのもライブ盤の楽しみ。普段あまりないところでは、ギターばりばりのロック調、スティールドラムで南国楽園ムード、アコギ弾き語り、あたりかなあ。コーラス部分は一部サポートメンバーの男性声になっていて、これまた新鮮。その大御所揃いのサポートメンバーによる演奏も聴き所。
 そしてもちろん、その豪華な演奏に埋もれることなく響く声も。ときに高らかに、ときに茶目っ気たっぷりに、ときにしっとりと、くるくる表情を変えながらステージを仕切っていく。ヴォーカリストとしての実力を再確認。

 個人的ベスト1は、やはり『カモメの断崖、黒いリムジン』。インプロの間奏からコーラスとの掛け合いで盛り上がっていくあたりが、ライブという空間で見事増幅されたと思う。この曲はビジュアル面の演出もあったので、この後出るDVDが楽しみ。