柚楽弥衣『The Power of Amulita』

 ヴォイス・パフォーマーのソロアルバム。歌詞なし(除くtrack10)、声と打ち込みのインプロヴィゼーション。
 低く伸びやかな声が、とにかく圧倒的な存在感と力を持っています。時にゆったりと、時に荒々しく、時にしっとりと、時にかきむしるように……そんな声が空間を縦横無尽に駆けめぐったかと思うと、次の瞬間にはたゆたい、すっと溶け込んでいる。何というか、これだけ自由に心のままに声を操れたら、どんなに気持ちいいだろうという感じ。ちなみに、どこかで「日本のビョーク」と評されていたけど、わたしゃビョークは聴いたことないのでそこら辺はよく分からず。
 曲調はバラバラながら、一応アンビエント、なのかな。さらにどこかアジアっぽい雰囲気……なのは声のせいか。無機的なサンプリングの音と追いつ抜かれつ疾走するtrack2や、ブルガリアンヴォイスっぽいtrack5が個人的好み。
 どちらかというとライブで聴きたいタイプのアーティストだと思うけど、これはこれでなかなか。くわっと暑い夏の空が似合う感じのアルバムです。

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