『Illumination』(プロデュース:Richard Souther)

 『 Hildegard von Bingen:The Fire of the Spirit 』と副題にあるように、修道女であり音楽家のHildegard von Bingen(「ビンゲン(地名)のヒルデガルド」の意)の曲を、Richard Southerがリアレンジしたコンセプトアルバム。原曲はネットでいくつか試聴したんですが、中世の宗教音楽ということで、グレゴリオ聖歌に近い感じ。単旋律のシンプルな曲ですね。
 そのグレゴリオ聖歌ブームの余韻もあったのか、彼女の曲は最近、いろんな音楽家の手によってリアレンジされているようで。その中でもこのアルバムは、シンセやコーラスアレンジを駆使して、原曲の持つ神秘的な雰囲気を生かしつつ、より幻想的に甦らせています。
 シンセアレンジを基本に、ストリング、ローホイッスルやイーリアンパイプなどのアイリッシュ楽器などで構成され、そこに浮遊感のある女性ヴォーカルが加わります(インスト曲もあり)。シンセがほわーんと鳴っているところにヴォーカルやその他楽器の音が浮かんでいるという、典型的?ニューエイジ。しかし個々のtrackを聴くと、ケルティックもあればプログレ風味もあり、優美なクラシカルアレンジなども交えて飽きさせません。個人的にはtrack7のアイリッシュ楽器とツィンバロン(という東欧の打楽器らしい)の絡みが民族調で好きだなー。
 とはいえ、やはり原曲が教会で歌われる歌だったこともあり、神秘的なヴォーカルが一番の売りかな。ヴォーカルが幾重にも重なり広がっていく様は、まさに天上の調べといった感じ。
 参加メンバーも実力派アーティストが揃っているらしい。アイリッシュ楽器をDavy Spillane、ヴォーカルを Sister Germaine Fritz,O.S.B , Noirin Ni Riain , Katie McMahon の3名が担当。ケルト寄りなのはこの人達の影響もあるかも。ストリングを担当する4人組の女性・Celloは初めて見る名前だなあ。閑話休題。ケルト(アイリッシュ)とニューエイジの境界地帯(笑)が好きな人にはたまらないアルバムだと思います。

Official Website of Richard Souther (アーティスト公式、試聴可)