Garmarna『Hildegard von Bingen』

 スウェーデンのラディカル・トラッドバンド4枚目のアルバム。12世紀に活躍した音楽家であり修道女のHildegard von Bingen(「ビンゲン(地名)のヒルデガルド」の意)、その彼女の曲をリアレンジしたアルバムです。国内盤のオビのコメントを上野洋子が寄せていたことから興味を持って、とかなりミーハーな動機で購入(笑)
 原曲は中世の教会音楽、それが打ち込みのリズムで始まるというのがまず衝撃。そこにギターやバイオリン、シンセが重なって、ああプログレっぽいな、と思っていると、さらにハーディ・ガーディのような古楽器が全く違和感なく融合していく。現代風トラッドではなく、トラッド風現代音楽でもない。いや私が北欧トラッドを聴いたことがないから分からないだけかもしれないけど(笑)
 そしてとどめに女性ヴォーカル。声自体が生き物のように音空間を泳いでいるような……「豊かな表現力」というのとはまた別の、不思議な存在感があります。アカペラのtrack9が圧巻。
 正直、私の聴くタイプではないはずなんだけどなあ……全体的に暗く重い雰囲気、楽器も低音に響くものが多く、ヴォーカルはいわゆるクリスタルヴォイスではない。強いて挙げれば、打ち込みリズムは時々ツボなのでそこかなあ……track5なんか、かき鳴らすようなバイオリン?とリズムが重なるところが気持ちよくて。
 自分でもハマった要因がよく分かっていないので、実は他人様に紹介できる立場でもなかったり。たぶん、プログレ好きな人には何かくるものがあると思う。

Garmarna (アーティスト公式、試聴可)