菅井えり『舞』

 CM等の楽曲を多く手がけるコンポーザー兼ヴォーカリストのソロアルバム。以前から気になってはいたものの、発売元のレーベルがいわゆるヒーリング系だったもんで、こういうのってさらっと聴きやすいけど聴き応えはイマイチなんだよなー、などと勝手に思ってなかなか購入に踏み切れず……偏見でしたごめんなさい。
 テーマは「アジア・ヒーリング」。オリジナル曲を中心に、日本の民謡も数曲。それらをコーラスアレンジし、さらに笙やケーナ、箏などのアジア系民族楽器でちょっと味付け。ヴォーカルはいわゆるクリスタルヴォイス。ほとんどの曲は歌詞なし(いわゆる「ハナモゲラ語」)。
 教会音楽的な響きをもった曲もあればアディエマス調もあり、これ1枚でいろんな多重コーラスを堪能できます。個人的には、track1やtrack8などの西洋和声のコーラスより、track7やtrack9など民族調のちょっとクセのあるコーラスの方が好みかな。track6では胡弓を声で表現する試みなどもあり、面白いです。をを言われてみれば確かに胡弓っぽいかも。
 海外に日本の伝統曲を、でも日本人が聴いても耳新しいものにしようと、日本以外のアジアの要素も取り入れた模様。聴いていると、どの曲はどっちに受けそうかなーなんてふと想像したり(笑) でも単純に日本の曲=海外向けとは限らない。例えばtrack2は民族調で、ホントにホーネン節?という感じだし。アジア的素材を自由に組み合わせて楽しんでいる感じがします。
 聴きやすい和声コーラスから一癖あるものまで。ヒーリングのコンピレーションアルバムでは飽き足らないけど、そのまんまのワールドミュージックはちょっと濃いかなー、という人に勧めやすいかな。もちろん、クリスタルヴォイス・多重コーラス好きにも。

MUSIC VALLEY DR~菅井えり 渡辺 格~ (アーティスト公式、試聴可)