光田康典『Sailing to the World』

 台湾のPCゲーム『第七封印』から、自身が作曲を担当した10曲を収録。バトル曲やエンディングなど、いわゆるおいしいとこ取り(笑)の担当だったようで、結果的に起承転結を持った、ゲーム全体を概観できるような曲構成になっているんじゃないかと思います。いや、ゲームの方はやったことないので想像ですが。
 やはりヴォーカル曲のtrack2,10が強烈です。track2はゆったりしたバイオリンに、track10では静かで力強いギターとバイオリンに、それぞれ遠い異国の地へ誘うような民族調の声が重なってこれがたまらない(涙) 何となくゲームの世界も見えてくるような。
 インスト曲はいつも通りというか、『クロノクロス』・『an cinniuint』の流れを受け継ぐ音楽という感じ。部分的にどこかの民族音楽のようであって、でも全く違う。こういうのを何て言うのか分からず。すいません。
 ピアノとバイオリン(実際はシンセの音)がゆるゆるとたゆたうような水を思わせるtrack3、打楽器系のリズムとギターの導入部からシンフォニックに展開するtrack4、あたりが個人的好み。あと、ど派手なオーケストラ曲?のtrack6(もしかしてこれがバトル曲かな)なんかも印象に残ります。
 一つだけわがままを言えば、10曲中2曲がヴォーカル曲のアレンジ違いだったのがちょっと残念。映画やゲームの音楽でアレンジ違いはよくあるけど、10曲という少ない曲数の中だとやや耳につくというか。まあこれは本当にわがままってことで。
 収録時間が短いのがファンとしては物足りないけど、その分よくまとまっているので、今まで光田音楽を聴いたことのない人に、手始めに勧められるアルバムかなと思います。あ、もちろんファンなら買いということで。

Our Millennial Fair(アーティスト公式)