カテゴリ「インスト」の記事

『小さき勇者たち GAMERA オリジナルサウンドトラック』(音楽・上野洋子)

 怪獣映画にこの人が?と思いながら、エスノやコーラスワークもありのようなので購入。怪獣映画でハーディガーディやブルガリアンヴォイスが聴けるとは思わなかったよははは。クレジットのところの使用楽器名は「他」なんて省略されてるし。

 ガメラが暴れ回っているであろう後半になると、さすがにトランペットがぱおんぱおん鳴っていたりするけど、お得意のコーラスワークは随所に。「ガメラ」という縛りの中で、「らしさ」も細かく出てはいる。あと正統派?オーケストレーションにこの声が乗るのは珍しいので、そういう聴き所もあるかな。コストパフォーマンス的には判断が分かれるかもしれないけど、わたしゃ「らしさ」全開なtrack1だけで元はとった派。

アキツユコ『HOKANE』

 ジャンルはエレクトロニカになるのかな? インストメインだけど、一部にヴォーカルもあり。打ち込みにオルガン(といっても電子オルガンなので音色はさまざま)やハープが重なって、幻想的だったりかわいらしかったり不可思議だったり。前作『音楽室』より全体の統一感あり。

 1曲1曲が長めで、起伏少なく漂うように流れていくのが心地よい。ヴォーカルもほわほわと輪郭薄い系。でもどこかにひんやりとしたものも感じる、大人のファンタジーという趣。

Aki Tsuyuko Official Website (アーティスト公式)
Childisc (レーベル)
Thrill Jockey Records (海外版の発売元ページ、試聴あり)

Capercaillie『Delirium』

5枚目のアルバム。リール(reel)やジグ(jig)という言葉がいくつか曲タイトルにある通り、アイリッシュトラッド、とりわけダンスものが得意分野みたいです。聴いているとつい一緒に鼻歌が(笑)
かと思うと、track3やtrack11のようなしっとり聴かせる曲もあり。しみじみ。
全体的にはトラッドとポップのちょうど中間当たりに位置するのかな。アコーディオンやウィッスル、ブズーキにフィドルという伝統的ケルト音楽の楽器構成、曲もトラディショナルやゲール語で歌われているものが多いんですが、それでもポップなんだよなー。なぜだろう。

Capercaillie(アーティスト公式、試聴可)

Altan『The best of Altan』

「トラディショナルなトラッド」と言われて聴いたら、なるほど納得。アイルランドの田舎の村祭りってこんな雰囲気なんでしょうか。ヴォーカルの柔らかな声もさることながら、インストゥルメンタルの流れるようなストリングスも耳に残ります。でもヴォーカルありの方が好きかなーやっぱ。
ちなみにこのアルバム、輸入盤と日本盤(というのか?)の両方とも手に入りますが、輸入盤はライブアルバムがついて2枚組になっています。

Altan - The Official Web Site (アーティスト公式、試聴可)

渡辺等『portrait of summer』

セカンドアルバム。ギター・マンドリン・ベース等々の弦楽器を、アコースティック・エレキ問わず全部一人で弾いてます。弦楽器のみのインストアルバム。曲調は……謎。「フュージョン」になるのかなあ。でもそもそも、フュージョンって何?と言われるとつらいのですが。
主役はマンドリンかな。どの曲でも前面に出ています。音の粒がよく響きわたるというか何というか……マンドリン大好き人間にはたまらん(涙) そこにベースや他の弦楽器が絡んで緩急自在、即興のような気ままさで奏でているような印象です。いや、しっかり譜面起こしているのかもしれないけど(汗)
全体的にアップテンポで軽やかな曲が多いかな。タイトルに「summer」の文字があるように、新緑の季節にドライブでもしながら聴きたいアルバム。

edition GASPARD, inc. (レーベルのサイト、試聴可)

IONA『heaven's bright sun』

 2枚組のライブアルバム。それまでに発表された4枚のアルバムからまんべんなく選曲されています。ヴォーカル曲とインスト曲が半々くらいかな。
 アイリッシュパイプの導入部から溌剌としたアイリッシュ・ロックナンバー、重厚なインスト曲……と畳みかけるような展開に引き込まれていきます。アイリッシュの楽器を軽やかに奏でたかと思うと、次のトラックはシンセ&エレクトリックギターのプログレサウンドだったり、はたまたヴォーカル曲は、街中で流れていそうなポップミュージックのようでもあり……ケルティック・ロックを基点にしながら、自由に伸びやかに演奏する様が聴けます。

IONA OFFICIAL WEBSITE(アーティスト公式)

渡辺等『chamber』

サードアルバム。マルチ弦楽器プレイヤーとなって、ギター・マンドリン・チェロ・ベース等々を操っています。
『portrait of summer』と比べて、マンドリンが少し引いたかな。その分、ベースが静かに響く曲あり、女性ヴォーカルをフィーチャーした曲あり、とバラエティを持たせた感じです。ベースメインの曲はちょっとジャズっぽいかも。
といっても、アルバム全体のトーンは一定。「森林」を感じるのは、単に1曲目のタイトルに引っぱられているだけか?

edition GASPARD, inc. (レーベルのサイト、試聴可)

渡辺等『Boring』

 4作目はミニアルバム。弦楽器は12弦フレットレスギターのみという、今までのマルチ弦楽器プレイはどうしちゃったの?というシンプルな構成。といっても、「今までに比べたら」の話であって、そういう予備知識一切なしで聴くと、これが1本のギターから出ているとは思えないほど豊かな音色に驚く。
 ギターと名はついているけどマンドリンのような、でもバスっぽい響きも混じっているし……という不思議な音色。パンフレットによると、「キラキラしているのにやわらかい」音を追い求めたらこんなんなったとか。何となく分かるような……澄んだ音でありながら丸いというのかなあ……と書いたところで百読は一聞にしかずなので、ギター好きな人は一度聴いてみて
 曲調は3作目『chamber』の延長上にある感じ。初夏ムードのtrack1がやっぱいいなー。アルバムタイトルとはうらはらの、変幻自在の演奏を堪能するのに5曲じゃ物足りない。次はフルアルバムでぜひに。

edition GASPARD, inc. (レーベルのサイト、試聴可)

IONA『The River Flows』

 初期のアルバム3枚(一部リマスタリング)+ボーナスCDの4枚組アンソロジー。初期のアルバムはいずれも廃盤になって久しかったので、最近ファンになった人には待望の復刻。また、IONA自身のレーベル・OPEN SKY RECORDSから初のリリース作品でもあるようで。
 通して聴くと、デビューから今のIONAにつながる軌跡が鮮やかに浮かび上がります。といっても、デビューの頃から劇的に変化しているわけではなく、むしろ当時から今の形がほぼできあがっており、しかも完成度も高かったことに驚き。デビューが1990年ということは、12年前から既にこんなすごいもんつくってたのかと。最近のファンでも裏切られないはず。以下、それぞれのアルバムについて感想など。
『 IONA 』 (1st)
 ヴォーカルはロック色が強くて(あと唸りがきいてて(笑))ちょっとびっくり。インスト曲はややケルトや他の民族色があるものの、やはりポピュラーロック(と呼ぶのか?)寄り。エレクトリックギターやサックスが結構前面に出てきているからかな。
 個人的には、天安門事件をきっかけにつくられたというtrack8が好きだなー。中国の笛とかも使われていてオリエンタルムード。初期ならではのいろんな側面を聴けるアルバムかも。
『 The Book of Kells 』 (2nd)
 ケルティック、ロック、時にシンフォニック……それらが自然に融合した独自の世界。IONAの方向が固まりつつあった、のかな? ここら辺からは、「これが最新作です」と言われても多分わかんない。のは私だけか?
 序盤に奥行きを増したヴォーカル曲、そして中盤からクライマックスに向けて盛り上がるインスト曲、その頂点に力強いヴォーカル曲再び。「ケルズの書」をモチーフに、十数曲が一大叙情詩を繰り広げる。ありがちな表現ですまんが(笑)まさにそんな感じ。全体的にほわーんと響くシンセの音が耳に残ります。
『 Beyond These Shores 』 (3rd)
 メンバーチェンジがあったそうで、そのせいかちょっとロック色が薄くなったかな? パーカッションが目立つようになったし。ヴォーカル曲、とりわけバラードが増えて、Joanne Hoggの力強い美声が存分に堪能できます。インスト曲も変わらずスケール間のあるロックだけど、以前より音が柔らかくなった気がします。
『 Dunes 』
 アルバム未収録曲やライブ音源を集めたボーナスCD。前半はドキュメンタリー番組のために書き下ろしたインスト曲集で、しっとりハープで聴かせる曲もあれば、いつも通りダイナミックなエレクトリックギターで攻める曲もあり、美しいコーラスワークあり、泣きのイーリアンパイプあり……民族もの好きな人にも受けそう。
 後半はライブでおなじみのナンバーや、代表曲の別バージョンなど数曲。ノリのいいダンスチューンを聴いていると、ライブに行きたくなります。

IONA OFFICIAL WEBSITE(アーティスト公式)

Kate Price『The Time Between』

デビューアルバム。歌とインストゥルメンタル(track2・4・6・8)を交互に織り込んだ構成になっています。歌ももちろんいいんですが、個人的にはインストゥルメンタルの方が、アレンジにいろんな趣向をこらしていて聴き応えあり。この頃はまだハンマーダルシマーメインではなく、ピアノやバイオリンの使用率が高いです。
ちなみに、国内盤のみボーナストラックあり(track10)。1曲だけアルバムから浮いているのはそういうわけ。

LunaVerse: The Music of Kate Price (アーティスト公式)

仙波清彦『Jasmine Talk』

 パーカッショニストのソロアルバム。その世界ではカリスマ的なのか、「スーパー」とか「師匠」とかつけて呼ばれるのをよく見かけるような。確かにクレジット見ると、ものすごい種類の打楽器を一人で演奏してる(笑)
 そんな人のアルバムなので、てっきり打楽器がドカドカと打ち鳴らされる、血沸き肉踊るような曲が多いのかと思ったら、そんなことなくてちょっとびっくり。逆にゆるやかに流れるような、まったりした曲が多いです。シンセにアジア系の民族楽器、ヒンドゥー語?の女性ヴォーカル――今なら絶対「 Asian reluxin' 」とかってコピーがつけられるに違いない。そのくらい、普段そっち方面に興味のない人にも「聴きやすい」アルバムだと思います。
 なので、個人的には逆にちょっと物足りない部分があるかなあ……track1終盤の打楽器セッションや、track4のエスノコーラス(Vo.上野洋子)あたりがやっぱ好きなので。民族ものにある程度ハマっている人よりは、これからそういう方面をちょっと聴いてみたいかなー、という人向け。

仙波清彦ホームページ (アーティスト公式)

『風の大陸 オリジナルサウンドトラック Vol.1』(音楽:大島ミチル)

 同名ファンタジー小説を原作にしたアニメのサウンドトラック第一弾。ヴォーカル曲が2曲入っていますが、ここでは触れません。
 オーケストラ調の派手な曲と、シンセ+少数楽器編成の曲が入り交じる構成。個人的にはやっぱ、民族楽器がフィーチャーされた曲が好きだなー。斜陽の大地を思わせるtrack1やtrack4が特に鼻血もの。マンドリン・ブズーキその他のそっち系弦楽器は渡辺等で涙もの。さらにハープにケーナなど、特徴的な民族楽器で異国情緒を醸し出しています。かと思うと、疾走するパーカッションにトランペットが鳴り響くtrack7なんかもあったりして、きっと「引き出し」がいっぱいあるんだろうな。あ、オーケストラ調の曲もいいですよ。
 遠い異国のようでありながらどこの国でもない、いわゆる無国籍調。原作の舞台がそうであるように、「いつかの時代のどこかの国」が浮かび上がってくるような音楽だと思います。廃盤なので、中古で探すべし。

『風の大陸 オリジナルサウンドトラック Vol.2』(音楽:大島ミチル)

 同名ファンタジー小説を原作にしたアニメのサウンドトラック第二弾。第一弾からこぼれてしまった曲を集めた、という印象です。第一弾に比べて曲の構成がかっちりできていないというか、起承転結みたいなものがないというか(一応頭とお尻はメインテーマ曲でまとめているんだけど)。でもその分、個々の曲は粒揃い。
 オーケストラ調の曲が減り、その分(私好みの)小編成ものが増えています。また内容もより民族っぽさが強くなったような……哀愁のアコーディオンで聴かせるtrack2(クレジット見たら思いっきりcobaだった)、胡弓の音が緩やかに流れる大河のようなtrack4、フォルクローレ調のtrack5にオリエント調?のtrack7など、個々の曲はどこかの国や地域の音楽っぽいんだけど、じゃあどこ?と訊かれるとどことも言えない無国籍サウンド。しっとりピアノで聴かせる曲などもあり、そっちもいいです。
 あとヴォーカル曲。2曲とも新居昭乃で、うちtrack13はメインテーマのヴォーカル版になっていていい雰囲気です。
 こういう風にサウンドトラックが2回に分けて出る時って、初めて聴いたときに印象に残るのが最初の方、何回か聴いていくうちにぐんぐん良くなっていくのが後の方、という個人的定説があるんですが(笑)、これもまさにそんな感じ。後からクセになっていく良さだと思います。

『ICO ~霧の中の旋律~』(テーマ曲他:大島ミチル)

プレイステーション2のゲーム『ICO』のサウンドトラック。水彩画のような美しいグラフィックと、BGMをほとんど使わず、風や水のせせらぎなど効果音を効かせた音の演出――あれ、それじゃサントラにするほど曲ないじゃん(笑) でやっぱり、全16曲のうち半分は曲というより効果音、残りも多くが1分前後の短いもので、ちょっと食い足りないかも。
で、オープニング・エンディングの2曲は大島ミチルの作・編曲によるもの。他にも数曲手がけているんですが、そっちは編曲が別の人になっています。
そして、エンディングの方がゲームのCMに使われていて、これを観て(聴いて)やられた人も多いはず。私もその一人。聖歌隊の少年による澄んだ、はかなげな声と、切ないマンドリン(?)が印象的です。郷愁をかきたてるメロディというか……うーん何て言ったらいいんだろう。ライナーノーツによると、「無国籍で中性的な魅力のヴォーカル曲」というオーダーでできた曲らしいんですが、それじゃ分かんないだろうしなあ。ううむ。
個人的にはもう一つの主役、ギター系弦楽器の方を押したい。ギター・マンドリン・ブズーキ等、数種類の弦楽器が切々と紡ぐメロディは、ゲームやってなくても心が震えちゃうと思う。もしかしたら、と思ってクレジット見たら、やっぱり渡辺等。私が弱いわけだ(涙) 案の定、全部一人で弾いてるし……
もちろん、元の曲のよさもあるんですけどね。大島ミチルといえば、NHKスペシャル『生命 40億年はるかな旅』の音楽で有名なのかな? 世界の様々な音楽の要素が感じられつつもオリジナルな作風、らしいです。いつもはわりと壮大なオーケストレーションのイメージが強くて、それには個人的にはぴんとこなかったんですよね。でも今回のは来た来た来たー!て感じ(笑) こういう少数楽器編成のをもっとやってくれないかなあ。
というわけで、上に出てきた名前に見覚えがあったら、あるいはCM観て曲が気になっていたら、ゲームやってなくても「買い」かと。

大島ミチルホームページ (アーティスト公式、試聴可)

refio『testa』

 ヴォーカル4曲+インスト2曲のミニアルバム。ファースト、ではない模様。
 力の抜けたヴォーカルに、ほわっと重なるコーラス。シンセは典型的な電子音が中心、といってもピコピコ角のある音ではなく、柔らかくぼやけた音系(何だそりゃ)。
 一聴して、淡いモノトーンの風景が目に浮かぶような……曲調が似たり寄ったりといったわけじゃないのに、全体を通して一定したトーン。ヴォーカルもシンセも淡々と粛々と音を紡いでいる。単調と感じる人もいるかもしれないけど、私にはどこまでも続く淡い世界が心地よく感じられます。
 そして、個人的にはインストにぐっとくるものがある。先に『Acro Iris』(こっちはヴォーカル曲のみ)を聴いたからか、ををインストもいいじゃん、みたいな。地味ながら幻想的、風景や世界がほの見えるような曲だと思います。

muzie:refio (muzie内アーティストページ、試聴可)

refio『coda』

 こちらもヴォーカル4曲+インスト2曲のミニアルバム。。後に『testa』とセットで売られていたことから想像するに、最初から対になるようにつくられたのかなあ。「testa coda」ってメシ屋もあるし。閑話休題。
 内容的にも、陽の『testa』に対して陰のイメージ。ゆったりとした短調の曲が続いていく……と思うと、track5ですこんとアップテンポの曲が来たりするんだけど。しかし、どこまでも続くモノクロ世界と浮遊するヴォーカルは全く同じ。ああやっぱり、『testa』と一緒に聴きたいアルバム。

muzie:refio (muzie内アーティストページ、試聴可)

光田康典『an cinniuint (アン・キニュント)』

プレイステーション2用ゲーム『つぐない』オリジナルサウンドトラック。サントラ発売はずっと期待されながらも、ゲーム発売元であるSCEIオフィシャルとしては出なかったんですよね。なので、作曲者ご本人がSCEIと交渉して、PS2の音源を使わずリマスタリングして、個人レーベル『Sleigh Bells』からこうやって出ることになったと。ご本人や関係者の尽力に感謝です。ちょっと前ならあきらめるしかなかっただろうに、いい時代になったもんだ。閑話休題。なので、ゲームで聴いていたよりいい音になっているとか。
アイリッシュサウンド中心とのことですが、全編ずっとホイッスルやイーリアンパイプが鳴りまくっているわけではありません(^^;) なので、アイリッシューと構えて聴くと拍子抜けするかも。曲の端々にさりげなくという感じですね。
アイリッシュだけでなく、他の要素も、もっと自由に随所で取り入れているという感じがします。『ゼノギアス』や『クロノ』あたりと比べても。
40曲もあるせいか、やっぱその中でもお気に入りの曲というのが出てきちゃいますね。私だと1枚目のtrack1(オープニング)、track2(眠りの中で)、track6(戦闘・レベル1)、あと町のテーマ曲3部作(朝・昼・夕で少しずつアレンジが違う)とか……メロディラインのはっきりした、音数少な目のが好みかなー。
あとなぜか好みが1枚目に集中してるな(^^;) おそらく、私がゲームをやっていないからというのもあると思います。後半は重要な場面に絡む(とタイトルから想像される)曲が多いようなので、ゲームをやっている人だと、プレイ中の思い出なんかもかぶってまた感想も違ってくるのかもしれません。
今のところ通販しか入手手段がなくて、試聴もできないので迷っている人もいるかもしれませんが、ファンなら買いだと思います。
しかし……ここから数曲に絞って掘り下げたものも聴きたい。と思うのは贅沢だろうかやっぱり。オープニング曲なんか1分20秒しかなくて、もっと聴きたいのにあっと言う間に終わっちゃうしー(涙) 『クロノクロス』もそうだけど、アレンジアルバムみたいなものがつくられないかなーと控えめに期待。いや、そんな簡単なことではないのは分かっているのですが。

Our Millennial Fair (アーティスト公式)

光田康典&ミレニアル・フェア『CREID』

プレステーション用ゲーム『ゼノギアス』のアレンジアルバム。クレジットは「光田康典とミレニアル・フェア」となっていて、最初はその「ミレニアル・フェア」メンバーの豪華さにつられて購入。
(ちなみにこのミレニアル・フェア、1999/11/18発売のゲーム『クロノ・クロス』のオープニング曲で再び共演しています。)
ヴォーカル曲とインスト曲が半々の構成。この頃は特にアイリッシュに影響を受けていたらしく、track4はアイリッシュの聖歌調でEimear Quinnの歌声が美しい(涙) あとはいろんなとこのトラッドが混然となっている感じかな。track1は上野洋子のすばらしいヴォーカルワークが聴けるし、track5はブズーキが砂漠を疾走しているし(何だそりゃ) track9は村祭りのイメージですね。

Our Millennial Fair (アーティスト公式)

『CHRONO CROSS Original Soundtrack』(音楽:光田康典)

プレイステーション用ゲーム『クロノクロス』のオリジナルサウンドトラック。豪華3枚組。
今回はギター&地中海サウンドをメインに据えているそうですが、アイリッシュやら古楽やらアフリカものやら、世界のいろんなトラッドが混じっているのはいつも通り? 芸幅広し。
RPGのサントラだけあって曲数が半端じゃないんですが、特にお気に入りはこんなところ。
DISC1-1(オープニングテーマ) 草原を駈ける風のような笛の音色にやられる(涙)
DISC3-6・3-15 Kircheのヴォーカル・みとせのりこさんの声にやられっぱなし(涙)
DISC2-11 ゆったり海の上なんです。ギターが。
DISC2-19 マリンバの疾走感が個人的にツボ。
挙げると全曲やっちゃいそうなのでこのくらいで(笑)
ギター抱えて草原と海と、って感じがするのは、ゲームのイメージに引っぱられているからかなあ。プレイ中も、フィールド上で手を止めてしばし音楽を聴いていた私(笑)

Our Millennial Fair (アーティスト公式)

『幻想水滸伝II音楽集 ORRIZONTE』(プロデュース:吉野裕司)

プレイステーション用ゲーム『幻想水滸伝II』から、12曲をピックアップしたアレンジアルバム。実はゲームの方はやったことないんですが、アレンジにVita Novaの吉野裕司・上野洋子が参加となれば、聴くしかないでしょやっぱ。
そして期待を裏切らない出来でした。ブズーキやリコーダーが走るは、叙情的なコーラスが響くは・・・ってもっと何か書き方はないんか(自爆) Vita Novaの古楽ポップがここに復活した感じです。そっち方面好きな人はぜひ聴くべし。
※逆に、元のゲームが好きで、その関連商品として買った人は面食らうだろうなあ・・・ほとんどインスト、歌も英語詞で、キャラの声なんか入ってないし。よくコナミがこれの制作を許可したなあ、という感じ。羽振りいいからかな(爆) ぜひぜひ今後もこういうのをよろしくー。

光田康典『The Brink of Time』

ゲーム『クロノ・トリガー』のアレンジアルバム。『CREID』より前の作品なんですが、私が聴いた順番が逆なもので。
ジャンル的には「アシッド・ジャズ」というらしいです。先鋭的なジャズという印象。他にテクノなんかも混じっているらしいんですが、そこら辺よく分からない私(爆)
 ゲームやった人には、聴き慣れたあの曲がこんなかっこよくなってるー(涙)と感慨を新たにするんじゃないかと。個人的にはやっぱtrack5(原題:時の回廊)だなあ……。

Our Millennial Fair (アーティスト公式)

『.hack// 黄昏の腕輪伝説 オリジナルサウンドトラック』(音楽:吉野裕司・上野洋子)

 同名アニメの音楽集。打ち込み中心+ところどころ生楽器+ところどころ女性ヴォーカルという構成。確か発売前の触れ込みでは「女性ヴォーカルを全面フィーチャー」だった気がするけど、実際はヴォーカル入り半分、インスト曲半分ぐらいかな。ヴォーカルには上野洋子の他、本間哲子・おおたか静流というおなじみの面々が参加。その他、オープニング・エンディング曲と挿入歌も収録されていますが、そっちは割愛。
 元のアニメは初回だけ見たんですが、それを見る限りはコメディ路線。そのせいか、収録曲もコミカルな曲が多いです。「アニメのイメージに忠実な曲づくり」という印象。この人たちが音楽を手がけたアニメは、他に『まりんとメラン』があるけど、あっちは劇伴曲といいながら「ホントにこれ本編で使ってるの?」みたいなのが多かったというか(^^;)、古楽や民族音楽といった持ち味全開だったように思うので、それと比べると今回はちょっと引き気味かな。クレジットを見る限り、今回は共作はほとんどなく分業体制のようなので、そのせいもあるかもしれない。
# 個人的には、アレンジにトランペットが使われていたのにびっくり。私が聴いた範囲では、今までなかったような。
 といいながら、端々にちりばめられたコーラスは聴き入っちゃうんだけどね。唯一、民族調コーラスで構成されるtrack21なんか、よーし来た!って感じだし。あとアルバム中盤あたりは、シリアスな場面の曲が多いのか、コミカルは影を潜めてRPGのサントラを聴いているような感じ。この辺りの曲は好きだなー。
 全体を通して「これ!」と表現できる言葉がみつからないので、正直勧めどころが難しい……少なくとも、古楽ポップや民族ものを期待している人には勧められない。コーラス目当てに聴くには、ちょっと曲数少ないしねえ。個人的にはそれ以外の部分、例えば(ネットゲームが舞台というアニメを意識してか)チープなピコピコ電子音の曲とか好きなんだけど。という煮え切らない感想になってしまった。

Victor Animation Network【m-serve】 (発売元紹介ページ、試聴可)

『NOIR ORIGINAL SOUNDTRACK 1』(音楽:梶浦由記)

TVアニメ『NOIR』のサウンドトラック第一弾。私はアニメの方は観ていないんですが、殺し屋の話だそうで、そのせいか全体的に暗いトーンの曲が多いかな。なお、オープニング曲はALI PROJECT、エンディング曲は新居昭乃がそれぞれ担当していますが、ここでは特に触れません。
で、音楽ですが……基本は打ち込み、そこにコーラスワークを多用しています。ライナーノーツでもご本人が書かれているように、映像作品のBGMでこれだけ人の声が前面に出ているのはめずらしい。ある時はメロディアスなストリングに、ある時は疾走感ある打ち込みリズムに、神秘的な女声コーラスが重なった時のぞわぞわ感たら(涙)
ちなみに歌詞は英語やフランス語らしいんですが、意図的にかどうか、はっきり聴き取れない……見知らぬ異国の言葉のようで、それもまた雰囲気作りに一役買っているような気がします。歌詞なしヴォーカルものが好きな人には感じるものがあるかも。
あと、ところどころワールドミュージックの要素を取り入れているのも特徴的。アイリッシュやフォルクローレ調が多いかな。でもアレンジはあくまで現代的。

●【m-serve】 ノワール● (発売元紹介ページ、試聴可)

『NOIR ORIGINAL SOUNDTRACK 2』(音楽:梶浦由記)

TVアニメ『NOIR』のサウンドトラック第二弾。Vol.1収録曲の別アレンジや未収録曲が入っています。打ち込み+女声コーラス+ワールドミュージックという基本はVol.1と同じ。なのでかなり個人的趣味丸出しの感想など。
Vol.1に比べて肩の力が抜けたというか、より自由に曲づくりをしている印象があります。個人的に、一部の曲でワールドミュージック色が濃くなっているのが嬉しー。track1からパイプのような音が鳴り渡ってそれはもう。track6のオリエンタルな雰囲気、track8の不思議な女声コーラス、アラビアンナイトな(何だそりゃ)track12……等々。
あと、track19の挿入歌もよいです。終わりの力一杯声が伸びるところが特に。歌っている See-Saw は、女性ヴォーカル+キーボードのユニット。名前、どっかで聞いたことあるなーと思ったら、昔はメジャーで活動していたらしい。今はインディーズでたまにライブをやったり、こういうサントラに曲を提供したり……ぐらいの活動頻度なのかな。メジャー時代にリリースされたアルバム、既に廃盤なんだけど聴いてみたかったなー。

●【m-serve】 ノワール● (発売元紹介ページ、試聴可)

『BRIGADOON まりんとメラン オリジナルサウンドトラック』(プロデュース:吉野裕司・上野洋子)

WOWOWオリジナルアニメーションのサウンドトラック。実はアニメは1回しか観たことないんですが、音楽をVita Novaの吉野裕司(とくればもちろん上野洋子も)が担当、となれば聴くしかないでしょやっぱ。歴史は繰り返す(苦笑)
『Orrizonte』が、他の人が作った曲に吉野氏が古楽的味付けをしたのに対して、こちらは作曲から吉野氏が担当しているせいか、もっと色が出ていますね。古楽、女声コーラス、民族音楽、テクノ、と、Vita Novaのアルバム4作がここに集結したって感じです。と書くと、ジャンルめちゃくちゃで統一性がないように聞こえますが、そんなことはありません。それがすごいと思う。
個人的には2の方が好きかなあ・・・というのは、アニメ本編はちゃんと見ていないんですが(爆)、おそらく後半になって舞台が異世界に移ったりして、そういう雰囲気の曲が2の方により多く収録されているようなんですよ。だから異国調のヴォーカルワークとかが随所にあってツボ(涙) あと、2のtrack10の曲でリュートに目覚めたのもあり。
メンバーも「こっち系」の人たち勢揃いで豪華。「アニメ」というところに躊躇したらもったいないです。がんばってショップのアニメコーナーに行くべし。

Noriko Mitose / Ena Tada / Toshihiko Inoue『疑似少女楽園廃墟』

 kircheの2人+サポートメンバーによる限定CD。アンドロイドをテーマにした人形展のためにつくられた3曲を収録。
 おなじみ?の多重コーラスつきでひたすら耽美なtrack1。「もしも願いが~」のくだりは個人的よろめきポイント(^^;) クラシカルなピアノ曲のtrack2が続いた後、track3でがらっと変わります。無機的で錆びた未来を思わせるようなプログレ。ヴォーカルもやや低めでブルガリアン・ヴォイス的。Kircheじゃたぶん聴けない世界。濃くて好きだー。
 と、3曲だけどやたら濃いCD。限定ものということで再プレスでもされない限り入手困難なのだけど……もし機会があったらぜひに。

『Illumination』(プロデュース:Richard Souther)

 『 Hildegard von Bingen:The Fire of the Spirit 』と副題にあるように、修道女であり音楽家のHildegard von Bingen(「ビンゲン(地名)のヒルデガルド」の意)の曲を、Richard Southerがリアレンジしたコンセプトアルバム。原曲はネットでいくつか試聴したんですが、中世の宗教音楽ということで、グレゴリオ聖歌に近い感じ。単旋律のシンプルな曲ですね。
 そのグレゴリオ聖歌ブームの余韻もあったのか、彼女の曲は最近、いろんな音楽家の手によってリアレンジされているようで。その中でもこのアルバムは、シンセやコーラスアレンジを駆使して、原曲の持つ神秘的な雰囲気を生かしつつ、より幻想的に甦らせています。
 シンセアレンジを基本に、ストリング、ローホイッスルやイーリアンパイプなどのアイリッシュ楽器などで構成され、そこに浮遊感のある女性ヴォーカルが加わります(インスト曲もあり)。シンセがほわーんと鳴っているところにヴォーカルやその他楽器の音が浮かんでいるという、典型的?ニューエイジ。しかし個々のtrackを聴くと、ケルティックもあればプログレ風味もあり、優美なクラシカルアレンジなども交えて飽きさせません。個人的にはtrack7のアイリッシュ楽器とツィンバロン(という東欧の打楽器らしい)の絡みが民族調で好きだなー。
 とはいえ、やはり原曲が教会で歌われる歌だったこともあり、神秘的なヴォーカルが一番の売りかな。ヴォーカルが幾重にも重なり広がっていく様は、まさに天上の調べといった感じ。
 参加メンバーも実力派アーティストが揃っているらしい。アイリッシュ楽器をDavy Spillane、ヴォーカルを Sister Germaine Fritz,O.S.B , Noirin Ni Riain , Katie McMahon の3名が担当。ケルト寄りなのはこの人達の影響もあるかも。ストリングを担当する4人組の女性・Celloは初めて見る名前だなあ。閑話休題。ケルト(アイリッシュ)とニューエイジの境界地帯(笑)が好きな人にはたまらないアルバムだと思います。

Official Website of Richard Souther (アーティスト公式、試聴可)

『Melody Of Legend ~Chapter of Love/Chapter of Dream』

2枚組ではなく、ちゃんと別々のCDです。でもセットで買っちゃうよねえやっぱ。
イーリアンパイプとホイッスルをメインにしたゲーム音楽のリミックス。メイン楽器からすると、ケルトとかアイリッシュとか、そういう方面を思い出すかもしれませんが、アレンジは正統派アイリッシュもあればアンビエント、テクノもあり。上記のメイン楽器とコーラス以外は打ち込みですね。
私はリアレンジャーにVita Novaの吉野裕司、上野洋子がいるぅ(涙)という理由で2枚とも即買い。ばっちり上野氏のコーラスワーク入ってるしね。はふー。他に大槻"kalta"英宣、光田康典、崎元仁、セロニアス・モンキーズが参加しています。
RPGのゲームを中心に、メインテーマやそれに準ずる曲が集められています。原曲はほとんど聴いたことがないんですが、おそらく曲調はバラバラのはず。ヴォーカル曲も混じっているしね。それが、イーリアンパイプの元にこんなに違和感なく集うのが不思議。
個人的には、正統派アレンジじゃない方が好きですね。ずんどこずんどこシーケンサーが走る上をイーリアンパイプが乱舞する「Love」編の7.とか・・・何かどっかで聞いたことあるなあと思ったら、Afro Celt Sound System(というユニット)の曲が確かこんな感じ。そしたら、イーリアンパイプ&ホイッスルの演奏者であるローナン・ブラウンは、以前Afro Celt Sound Systemに参加したことがあるとライナーノーツに・・・なるほど。
一つだけ注文をつければ、パイプ&ホイッスルしばり(笑)のアレンジということもあって、雰囲気が似通ってしまう曲も中にはあり(原曲の方も元々似通っていたのかもしれませんが)。例えばフィドルとか、もっと自由に他の楽器も使えれば、より面白くなったんじゃないかと思います。
とはいえ、元の曲やゲームを知らなくてもいい感じで聴けるんじゃないかと。

Vita Nova『ancient flowers』

吉野裕司を中心とする不定形ユニット、Vita Novaのファーストアルバム。オビのキャッチコピーにある「古楽ポップ」って、こういうものなのかあと私には感じることしかできませんが。古今東西の音楽(半分以上は原曲を知らないんですが(苦笑))を古楽というるつぼに入れて、新しいものに作り替えています。そこが「ポップ」の所以なのかと。

Studio RAM (アーティスト公式)

光田康典『Sailing to the World』

 台湾のPCゲーム『第七封印』から、自身が作曲を担当した10曲を収録。バトル曲やエンディングなど、いわゆるおいしいとこ取り(笑)の担当だったようで、結果的に起承転結を持った、ゲーム全体を概観できるような曲構成になっているんじゃないかと思います。いや、ゲームの方はやったことないので想像ですが。
 やはりヴォーカル曲のtrack2,10が強烈です。track2はゆったりしたバイオリンに、track10では静かで力強いギターとバイオリンに、それぞれ遠い異国の地へ誘うような民族調の声が重なってこれがたまらない(涙) 何となくゲームの世界も見えてくるような。
 インスト曲はいつも通りというか、『クロノクロス』・『an cinniuint』の流れを受け継ぐ音楽という感じ。部分的にどこかの民族音楽のようであって、でも全く違う。こういうのを何て言うのか分からず。すいません。
 ピアノとバイオリン(実際はシンセの音)がゆるゆるとたゆたうような水を思わせるtrack3、打楽器系のリズムとギターの導入部からシンフォニックに展開するtrack4、あたりが個人的好み。あと、ど派手なオーケストラ曲?のtrack6(もしかしてこれがバトル曲かな)なんかも印象に残ります。
 一つだけわがままを言えば、10曲中2曲がヴォーカル曲のアレンジ違いだったのがちょっと残念。映画やゲームの音楽でアレンジ違いはよくあるけど、10曲という少ない曲数の中だとやや耳につくというか。まあこれは本当にわがままってことで。
 収録時間が短いのがファンとしては物足りないけど、その分よくまとまっているので、今まで光田音楽を聴いたことのない人に、手始めに勧められるアルバムかなと思います。あ、もちろんファンなら買いということで。

Our Millennial Fair(アーティスト公式)

asterisk『*1』

「アスタリスク」は上野洋子ソロユニット。趣味的に日本語ポップス&インストをやるために、わざわざ別名義にしたとのこと。このアルバムには、ヴォーカル5曲とインスト3曲が収められています。
ヴォーカル曲は、甘く妖艶な響きのクリスタルヴォイスが堪能できます。いや別に変な意味ではなく。声の澄んだヴォーカリストはたくさんいるけど、「無垢な妖しさ」がこの人の特徴かなと勝手に思っているもので。
同じヴォーカル曲でも、『Puzzle』の方は声=楽器扱いのせいか、わりとかっちり、緻密に精巧につくられている印象。それに対してこちらは、もっと自由に、気の向くままに歌っているような感じがします。
インスト曲は何か不思議。あるものはヨーロッパの村祭り調、あるものは前衛的……きっと何かしら呼び方があるんだろうけど、うーわからん。さらにヴォーカル曲も、民族調だったりしっとり打ち込み系だったりとバラエティに富んでいて、アルバムとしての統一感は薄い。それが「趣味的」の意味なのかな。CMや演劇のBGMなど、様々な仕事で培われてきた音楽の幅の広さが窺えます。

uenoyoko (アーティスト公式)
asterisk(レーベル紹介ページ)

Era『Three Colors of the Sky』

 バイオリンとギターのデュオ。メンバーそれぞれの活動はプログレのイメージが強かったので、試聴していい意味で裏切られた。

 前半はアップテンポで攻め、後半はややゆったり。たまにフィドルやスパニッシュギターのような演奏もあったり、そのほか随所にトラッド風味。うねり伸びるヴァイオリンと激しくかき鳴らされるギターが対峙したかと思うと、仲良くしっとり奏でられる曲もあり。昼下がりムードのまったり曲もいいけど、個人的にはやはり、荒々しい超絶技巧系のtrack5とかが好き。たった2つの楽器が持つ広がりと奥行きに感動。

壷井彰久/鬼怒無月Duo (試聴あり)

Acoustic Asturias『Bird Eyes View』

 伝説のプログレユニットが生楽器4人編成で復活。テレビ番組やゲームへの提供曲を含む5曲を収録。

 とにかく濃密。4つ(5つ?)の楽器が時に重なり時に対峙して生み出す緊張感。音数が少ないからといってスカスカではなく、むしろ個々の音が自由に響いていく気持ちよさ。こういう編成ってゆったりまったりしがちだけど、5曲中3曲がアップテンポの曲なのもさらに小気味いい。

 ピアノやクラリネットの上にバイオリンのメロディ、というパターンが多いけど、track5ではギターが前後を締めてなにげに存在感が。フルアルバム聴きたいなあ。

Acoustic Asturias | アコースティック・アストゥーリアス (アーティスト公式)

Acoustic Asturias『Marching Grass on the Hill』

 復活後、初のフルアルバム。track1冒頭のリリカルなピアノから後、やられっぱなし。ややゆったりおとなしめの曲が多いかなーという気もするけど、基本的には前作『Bird Eyes View』と同様の雰囲気。緻密に組み合わされた生楽器の絡み合いがたまらん。

 アーティスト公式でも書かれているように、発売元がメジャーレーベルだったり、内容もノンケ向けにヴォーカル曲やクラシックメドレーを混ぜてみたりと、売ることを意識したらしい。それが若干不安だったけど、一聴してそんなことすっかり忘れた(笑) ただ、個人的にヴォーカル曲はなくてもよかったかなあ。

avex io : Acoustic Asturias「Marching Grass on the Hill」 (発売元の紹介ページ、試聴あり)

asterisk『*2』

 セカンドアルバム。ヴォーカル4曲+インスト3曲。

 トランペットやトロンボーンといった管楽器の音がまず印象的。どこかレトロでユーモラスなアレンジは、前作『*1』が頭に残っていると確実に裏切られる(笑)

 特に7分強に及ぶtrack1は圧巻。緩急自在、転調に次ぐ転調、活劇を見ているかのような怒濤の展開。プログレといってもいいかもしれない。下記の試聴で頭の数十秒が聴けるけど、あれは本当にプロローグなので曲全体をつかむには用が足りない。45秒ルールなので仕方ないけど、冒頭~中盤~終盤のクロスフェードとかあればいいのに。ってここで言ってもしょうがないんだけど。
 そしてはじけっぷり最高潮のtrack5。おバカコンセプトが遺憾なく発揮され、間奏の変拍子はもはや変態的。←もちろんほめ言葉。というか未だに何拍子なのか分かりません(涙)

 かと思うとピアノとポエトリーリーディング?でインプロ風(track3)があったり、北欧トラッドのようなアコーディオンのインスト(track6)があったり、比較的普通にポップスなtrack2、『*1』のラストに似た雰囲気を持つtrack7……とほとんどの曲を挙げてしまうぐらいバラバラな音楽が詰め込まれた1枚。個人的には、前作よりやりたい放題感が高くてツボです。敢えておすすめポイントを挙げるとすれば、やはりおバカテイストに酔ってほしい。

uenoyoko (アーティスト公式)
asterisk (レーベル公式、試聴可)

『ドルフィンブルー~フジ、もういちど宙へ~/ちゅらうみ~沖縄美ら海水族館への招待~ オリジナルサウンドトラック』(音楽:上野洋子)

 尾ひれをなくしたイルカの復活への道のりを描いた映画『ドルフィンブルー』と、その舞台となった水族館のドキュメンタリー『ちゅらうみ』。その両方のBGMを収録。

 『ドルフィンブルー』の方はその旨監督のオーダーもあったようで(ライナーノーツより)、かなりシンプル。ギターだけとかハープとボイスだけとか。全体的にゆったり、眠くなる曲が多いけど、いつものブルガリアンヴォイス曲も1曲あり。この人にしては音数少なく、ある意味実験的。

 『ちゅらうみ』の方は割と盛り上がりに欠けるというか、打ち込みメインの平坦な曲が多い。ドキュメンタリーのBGMだからかね。水族館の映像と合わせるとぴったりなのかもしれないけど、音楽のみだとやや退屈な感じも。個人的には、仕事その他のBGM用かなあ。

 そんな感じで、ファンなら聴いてみると面白いかも、というアイテム。

uenoyoko (アーティスト公式、通販あり)

Fylue Deau『時間のむこう/Timeside Points』

 時々気になるものがあるChildiscレーベル。思い出すとサイトをチェックしていて、このジャケットに引っかかり、さんざ探し回ったあげく試聴(※現在はなし)を見つけてそのまま即買い。なので、どういう人なのか知らないのです。CD Journalの紹介によると、男性のソロプロジェクトらしいのだけど。

 ピアノメインのインスト集。アンビエントとか、あとミニマルの要素もありなのかな。ややエコーを効かせ、緩急つけながら、ピアノの音がきらきらと宙を舞う。主旋律はなく、即興のようでもあり……ううう表現しがたい。何で試聴がないんだー。閑話休題。

 ピアノの音色が作り出す音空間に浸かれる1作。個人的好みはちょっと和テイストなtrack6や、ラストをドラマティックに盛り上げるtrack16など。

【参考】今までに聴いた中では、Steve Reichのピアノものにちょっと似ているかなあ。ってほかにそこら辺聴いたことないんだけど。

Amina(Amiina)『AnimaminA』

 アイスランドの女性4人組。元はSigur Rósなる人のバックバンド?らしい。「Amina(Amiina)」となっているのは、改名して現在はAmiinaとなっているため。

 本作はインスト4曲。メンバーはいずれもバイオリンやチェロなどの弦楽器プレーヤーらしいのだけど、本作はその弦楽器と、鉄琴やオルゴールっぽいきらきら音のハーモニーが美しい。両者がゆるやかに重なり融合していくtrack3は、さながら夕暮れの空を闇がゆっくり塗り替えていくよう。

 ジャンル的にはアンビエント……なのかなあ。曲の構成はわりとはっきりしていて退屈しない。幻想世界を旅するような、夢見心地の4曲……では足りないよねやっぱ。アルバムも出ているようなので、これはやはり聴いてみなければ。

Amiina (アーティスト公式)
MySpace.com - amiina (試聴あり)

Amazon.comで全曲試聴あり

Amiina『Seoul』

 『AnimaminA』に続くセカンドシングル。track1は前作の路線そのまま、きらきら音がちりばめられたスローテンポなインスト。track2ではそこにヴォーカルが入り、やや締まった印象。

 そして、track3がピコピコ音で始まったのにはかなりびっくり。ビートありの8bitサウンドですよ。それでもどこか牧歌的なんだけど。シングルはたまにこういう実験があるから楽しい。

Amiina (アーティスト公式)
MySpace.com - amiina (試聴あり)

筒井香織『水の楽園 - ピアノ作品集』

 「水底に沈んだ街」をイメージしたピアノ曲集『組曲「水の楽園」』 + 伝説の都市・イスをモチーフにした絵のBGM集『3つの素描』――という2部構成のアルバム。

 『組曲「水の楽園」』は、叙情的なピアノがとにかく心の琴線ふるわせまくりなのですよ。メロディが鮮やかに情景を描き、物語を紡いでいく。久石譲のソロピアノ曲が好きな人は好みかも。でもクラシックでありながら、どこかプログレ。な気がする。

 一方の『3つの素描』の方は、ピアノ以外の音も混じり、ミステリアスな古都のイメージ。3曲だけだとちょっと物足りない……「絵に音楽をつける」試みはほかにもやっているようなので、そこら辺まとめて聴きたいなあ。

Alphonte (アーティスト&レーベル公式)
MusicTerm--SHOP--CD--020420 (通販サイトの商品紹介ページ。全曲試聴可)

(Multi) Asturias『In Search of The Soul Trees/樹霊』

 「アコースティック・アストゥーリアス」に対して「マルチ・アストゥーリアス」としての新作。アコースティック路線から一転して、打ち込み・エレキありの多重録音ものに。全曲インスト。
 ……実は自分、アストゥーリアスの初期3部作は部分的に惹かれるものの、エレキギターが前面に出てくるとどういうわけか受け付けなかったので、今回ちょっと不安だった。できればまたアコースティックの方がよかったなーとまで。

 ……すみません反省してます。アコースティックとエレキ、打ち込みと生音――それらが、ぴったり息のあったリレーの走者のように1つの曲をつないでいく。繊細なピアノの旋律、軽やかなクラリネットから突然ギターのうなり声、それに絡むバイオリン……その流れに耳を任せていると、いつの間にか大きなうねりに巻き込まれていく。久しぶりに魂持ってかれる感じを味わった。

 ロックど真ん中あり、アコアスでおなじみの叙情メロあり……個人的イチオシtrackが選びにくい。とにかく全編かっこよすぎ。最近のアコアスから入った人もぜひに。

Asturias | アストゥーリアス
アーティスト公式。発売案内ページのメイキング・プロモ映像でtrack1の一部試聴可。手作り感あふれていて個人的に好き。
MusicTerm--SHOP--CD--020445
通販サイト内の商品紹介ページ。全曲試聴可。