カテゴリ「プログレ」の記事

ASHADA『curculation』

 女性2人ヴォーカルのユニット。全体的にはプログレ。時にこれでもかというくらいメロディアス&ドラマティックな展開とか。ピアノ&バイオリン最強。個人的にはインスト曲の方がビビっと来たかな。

 ヴォーカルがやや弱い感じがするけど、それを補ってあまりある雰囲気、世界。新居昭乃系ヴォーカルーと思って聴くと、アレンジの重さに多分ビビる(笑) 要試聴。

 ……久しぶりに公式サイト見に行ったら、2007年8月で解散とのこと。残念。

ashada.net (公式、試聴あり)
MusicTerm--SHOP--CD--020295 (上記公式がなくなったらこちらで試聴可)

Garmarna『Hildegard von Bingen』

 スウェーデンのラディカル・トラッドバンド4枚目のアルバム。12世紀に活躍した音楽家であり修道女のHildegard von Bingen(「ビンゲン(地名)のヒルデガルド」の意)、その彼女の曲をリアレンジしたアルバムです。国内盤のオビのコメントを上野洋子が寄せていたことから興味を持って、とかなりミーハーな動機で購入(笑)
 原曲は中世の教会音楽、それが打ち込みのリズムで始まるというのがまず衝撃。そこにギターやバイオリン、シンセが重なって、ああプログレっぽいな、と思っていると、さらにハーディ・ガーディのような古楽器が全く違和感なく融合していく。現代風トラッドではなく、トラッド風現代音楽でもない。いや私が北欧トラッドを聴いたことがないから分からないだけかもしれないけど(笑)
 そしてとどめに女性ヴォーカル。声自体が生き物のように音空間を泳いでいるような……「豊かな表現力」というのとはまた別の、不思議な存在感があります。アカペラのtrack9が圧巻。
 正直、私の聴くタイプではないはずなんだけどなあ……全体的に暗く重い雰囲気、楽器も低音に響くものが多く、ヴォーカルはいわゆるクリスタルヴォイスではない。強いて挙げれば、打ち込みリズムは時々ツボなのでそこかなあ……track5なんか、かき鳴らすようなバイオリン?とリズムが重なるところが気持ちよくて。
 自分でもハマった要因がよく分かっていないので、実は他人様に紹介できる立場でもなかったり。たぶん、プログレ好きな人には何かくるものがあると思う。

Garmarna (アーティスト公式、試聴可)

IONA『heaven's bright sun』

 2枚組のライブアルバム。それまでに発表された4枚のアルバムからまんべんなく選曲されています。ヴォーカル曲とインスト曲が半々くらいかな。
 アイリッシュパイプの導入部から溌剌としたアイリッシュ・ロックナンバー、重厚なインスト曲……と畳みかけるような展開に引き込まれていきます。アイリッシュの楽器を軽やかに奏でたかと思うと、次のトラックはシンセ&エレクトリックギターのプログレサウンドだったり、はたまたヴォーカル曲は、街中で流れていそうなポップミュージックのようでもあり……ケルティック・ロックを基点にしながら、自由に伸びやかに演奏する様が聴けます。

IONA OFFICIAL WEBSITE(アーティスト公式)

IONA『The River Flows』

 初期のアルバム3枚(一部リマスタリング)+ボーナスCDの4枚組アンソロジー。初期のアルバムはいずれも廃盤になって久しかったので、最近ファンになった人には待望の復刻。また、IONA自身のレーベル・OPEN SKY RECORDSから初のリリース作品でもあるようで。
 通して聴くと、デビューから今のIONAにつながる軌跡が鮮やかに浮かび上がります。といっても、デビューの頃から劇的に変化しているわけではなく、むしろ当時から今の形がほぼできあがっており、しかも完成度も高かったことに驚き。デビューが1990年ということは、12年前から既にこんなすごいもんつくってたのかと。最近のファンでも裏切られないはず。以下、それぞれのアルバムについて感想など。
『 IONA 』 (1st)
 ヴォーカルはロック色が強くて(あと唸りがきいてて(笑))ちょっとびっくり。インスト曲はややケルトや他の民族色があるものの、やはりポピュラーロック(と呼ぶのか?)寄り。エレクトリックギターやサックスが結構前面に出てきているからかな。
 個人的には、天安門事件をきっかけにつくられたというtrack8が好きだなー。中国の笛とかも使われていてオリエンタルムード。初期ならではのいろんな側面を聴けるアルバムかも。
『 The Book of Kells 』 (2nd)
 ケルティック、ロック、時にシンフォニック……それらが自然に融合した独自の世界。IONAの方向が固まりつつあった、のかな? ここら辺からは、「これが最新作です」と言われても多分わかんない。のは私だけか?
 序盤に奥行きを増したヴォーカル曲、そして中盤からクライマックスに向けて盛り上がるインスト曲、その頂点に力強いヴォーカル曲再び。「ケルズの書」をモチーフに、十数曲が一大叙情詩を繰り広げる。ありがちな表現ですまんが(笑)まさにそんな感じ。全体的にほわーんと響くシンセの音が耳に残ります。
『 Beyond These Shores 』 (3rd)
 メンバーチェンジがあったそうで、そのせいかちょっとロック色が薄くなったかな? パーカッションが目立つようになったし。ヴォーカル曲、とりわけバラードが増えて、Joanne Hoggの力強い美声が存分に堪能できます。インスト曲も変わらずスケール間のあるロックだけど、以前より音が柔らかくなった気がします。
『 Dunes 』
 アルバム未収録曲やライブ音源を集めたボーナスCD。前半はドキュメンタリー番組のために書き下ろしたインスト曲集で、しっとりハープで聴かせる曲もあれば、いつも通りダイナミックなエレクトリックギターで攻める曲もあり、美しいコーラスワークあり、泣きのイーリアンパイプあり……民族もの好きな人にも受けそう。
 後半はライブでおなじみのナンバーや、代表曲の別バージョンなど数曲。ノリのいいダンスチューンを聴いていると、ライブに行きたくなります。

IONA OFFICIAL WEBSITE(アーティスト公式)

みとせのりこ『ヨルオトヒョウホン(夜音標本)』

 ソロでは初のアルバム。過去のソロ作品をリアレンジし、影響を受けたアーティストたちから曲提供を受け、さらに自らのルーツとなる唱歌を入れたりして、バラエティに富んだアルバムとなっています。
 無伴奏ポリフォニー(というのね知らなかった(爆))から始まり、プログレ、アイリッシュ、無国籍風、ポップス……クラシカルなしっとりメロから、今までからは想像できなかったロックサウンドまでも自在に歌いこなす。クリスタルヴォイスというとか弱いイメージがあるけど、全然そんなことなく力強い。多様な曲に沿いながらも呑まれることなく、それがアルバム全体の統一感を生んでいる。まさしく「ヴォーカルアルバム」。
 曲も上記の通り、やりたい放題の濃いラインナップで個人的に大満足。「特にこの曲が好き」が挙げられないぐらいなので。強いて挙げれば、楽器少なめのtrack1とか6かなあ。でも無国籍track2とかも好きだし……閑話休題。
 ゲームの主題歌等でこの人を知ったというファンも多いと思うけど、そういう、音楽的にノンケの人(笑)は唖然とするんじゃないかと微妙に心配しつつ、これを機にそっち方面にハマるとよし。逆に、この歌い手知らないけど作曲陣が気になる人たちかも、という人にも勧められると思います。

ヨルオトヒョウホン:::top (アーティスト公式内紹介ページ、試聴可)

Noriko Mitose / Ena Tada / Toshihiko Inoue『疑似少女楽園廃墟』

 kircheの2人+サポートメンバーによる限定CD。アンドロイドをテーマにした人形展のためにつくられた3曲を収録。
 おなじみ?の多重コーラスつきでひたすら耽美なtrack1。「もしも願いが~」のくだりは個人的よろめきポイント(^^;) クラシカルなピアノ曲のtrack2が続いた後、track3でがらっと変わります。無機的で錆びた未来を思わせるようなプログレ。ヴォーカルもやや低めでブルガリアン・ヴォイス的。Kircheじゃたぶん聴けない世界。濃くて好きだー。
 と、3曲だけどやたら濃いCD。限定ものということで再プレスでもされない限り入手困難なのだけど……もし機会があったらぜひに。

Era『Three Colors of the Sky』

 バイオリンとギターのデュオ。メンバーそれぞれの活動はプログレのイメージが強かったので、試聴していい意味で裏切られた。

 前半はアップテンポで攻め、後半はややゆったり。たまにフィドルやスパニッシュギターのような演奏もあったり、そのほか随所にトラッド風味。うねり伸びるヴァイオリンと激しくかき鳴らされるギターが対峙したかと思うと、仲良くしっとり奏でられる曲もあり。昼下がりムードのまったり曲もいいけど、個人的にはやはり、荒々しい超絶技巧系のtrack5とかが好き。たった2つの楽器が持つ広がりと奥行きに感動。

壷井彰久/鬼怒無月Duo (試聴あり)

夢中夢『夢中夢』

 ショップの新譜紹介で「久石譲 from Hell」と書かれているのを見て、後半部分が気になりながらも購入。いや本当にこの組み合わせが想像つかなくて。

 「from Hell」は聴いて納得。久石譲ばりの叙情的なメロディがデスメタルにのっかるとこうなるのかー。といってもデスメタルは収録曲のごく一部で、シンフォニックあり女性ヴォーカルありアンビエント?その他いろいろごった煮状態。全体的には陰鬱なトーンと先述のメロディが印象に残る。だめだこういうメロ弱い。

夢中夢-mutyumu- official web site (アーティスト公式、試聴あり)

Acoustic Asturias『Bird Eyes View』

 伝説のプログレユニットが生楽器4人編成で復活。テレビ番組やゲームへの提供曲を含む5曲を収録。

 とにかく濃密。4つ(5つ?)の楽器が時に重なり時に対峙して生み出す緊張感。音数が少ないからといってスカスカではなく、むしろ個々の音が自由に響いていく気持ちよさ。こういう編成ってゆったりまったりしがちだけど、5曲中3曲がアップテンポの曲なのもさらに小気味いい。

 ピアノやクラリネットの上にバイオリンのメロディ、というパターンが多いけど、track5ではギターが前後を締めてなにげに存在感が。フルアルバム聴きたいなあ。

Acoustic Asturias | アコースティック・アストゥーリアス (アーティスト公式)

Acoustic Asturias『Marching Grass on the Hill』

 復活後、初のフルアルバム。track1冒頭のリリカルなピアノから後、やられっぱなし。ややゆったりおとなしめの曲が多いかなーという気もするけど、基本的には前作『Bird Eyes View』と同様の雰囲気。緻密に組み合わされた生楽器の絡み合いがたまらん。

 アーティスト公式でも書かれているように、発売元がメジャーレーベルだったり、内容もノンケ向けにヴォーカル曲やクラシックメドレーを混ぜてみたりと、売ることを意識したらしい。それが若干不安だったけど、一聴してそんなことすっかり忘れた(笑) ただ、個人的にヴォーカル曲はなくてもよかったかなあ。

avex io : Acoustic Asturias「Marching Grass on the Hill」 (発売元の紹介ページ、試聴あり)

『Lamento O.S.T. -The World Devoid Of Emotion-』(音楽・ZIZZ STUDIO)

 Amazonのおすすめに出てきて、美少女系はともかくなぜBL系が……と思ったら、Acoustic Asturiasメンバーの参加度が高いらしい。レビューなど見つつ購入。

 レビューで言われているほどケルトではないと思うけど、民族度は高い。生楽器もよし。ところどころ女性ヴォーカルフィーチャーなのもマル。サントラ、しかも2枚組というボリュームなのでややダレるところもあるけれど、個々の曲に聴き所あり。民族系ゲーム音楽好きにもお勧め。

Lamento O.S.T. -The World Devoid Of Emotion- (ZIZZ STUDIO、トラックごとの作曲者一覧あり)
Lamento公式(注:18禁)のプロモムービーで試聴可。

Alquimia『A Separate Reality』

 ケルト方面にハマっていた頃に知り、ケルトーと思って聴いてぶっとんだ1枚。公式サイトやMySpaceの記述など見ると、ケルトのほか、中世や民族やクラシック等々を取り入れ、錬金術(alchemy)のごとく新しい音楽を生み出す――のが名前の由来らしい。そんな女性ヴォーカリスト&コンポーザーの、ソロでは多分ファーストアルバム。

 ほぼ全編打ち込み、漆黒の宇宙空間にケルト的女性ヴォーカルが響き渡るイメージ。しっかりリズムを刻むテクノな曲もあり、かと思うと多重コーラスで天上の調べのような曲もあり、ダークなエスノヴォイスものもあり。確かに、他に例えようのない「新しい音楽」かも。プログレ方面に受けるのが分かる。とりあえずケルトは忘れて聴くべし。

Welcome to the music of Alquimia (アーティスト公式、試聴あり)

Irfan『Seraphim』

 セカンドアルバム。ファースト『Irfan』に比べ垢抜けたというか、土臭さが薄れていい感じ。

 内容的にも、ファーストよりバラエティに富んでいる。オペラティックで壮大なスケールのtrack3、打楽器と共に疾走するtrack6、ヴォーカルを全面に出したtrack2,8……緩急つけて飽きさせない。もちろんオリエンタルテイストはちゃんと入ってます。

 女性ヴォーカルの美しさもまた印象的。中でもtrack5はアカペラで始まり、多重コーラスとストリングスがあいまって涙もの。これ1曲のためにアルバム買ってもいいくらい。

 今作、プログレ方面などでもよく見かける気がするのは、単なるエスノものではないということだと思う。前作がイマイチだったという人にもぜひ。

MySpace.com - Irfan (試聴あり)
Amazon.co.jpでほぼ全曲試聴可

筒井香織『水の楽園 - ピアノ作品集』

 「水底に沈んだ街」をイメージしたピアノ曲集『組曲「水の楽園」』 + 伝説の都市・イスをモチーフにした絵のBGM集『3つの素描』――という2部構成のアルバム。

 『組曲「水の楽園」』は、叙情的なピアノがとにかく心の琴線ふるわせまくりなのですよ。メロディが鮮やかに情景を描き、物語を紡いでいく。久石譲のソロピアノ曲が好きな人は好みかも。でもクラシックでありながら、どこかプログレ。な気がする。

 一方の『3つの素描』の方は、ピアノ以外の音も混じり、ミステリアスな古都のイメージ。3曲だけだとちょっと物足りない……「絵に音楽をつける」試みはほかにもやっているようなので、そこら辺まとめて聴きたいなあ。

Alphonte (アーティスト&レーベル公式)
MusicTerm--SHOP--CD--020420 (通販サイトの商品紹介ページ。全曲試聴可)

(Multi) Asturias『In Search of The Soul Trees/樹霊』

 「アコースティック・アストゥーリアス」に対して「マルチ・アストゥーリアス」としての新作。アコースティック路線から一転して、打ち込み・エレキありの多重録音ものに。全曲インスト。
 ……実は自分、アストゥーリアスの初期3部作は部分的に惹かれるものの、エレキギターが前面に出てくるとどういうわけか受け付けなかったので、今回ちょっと不安だった。できればまたアコースティックの方がよかったなーとまで。

 ……すみません反省してます。アコースティックとエレキ、打ち込みと生音――それらが、ぴったり息のあったリレーの走者のように1つの曲をつないでいく。繊細なピアノの旋律、軽やかなクラリネットから突然ギターのうなり声、それに絡むバイオリン……その流れに耳を任せていると、いつの間にか大きなうねりに巻き込まれていく。久しぶりに魂持ってかれる感じを味わった。

 ロックど真ん中あり、アコアスでおなじみの叙情メロあり……個人的イチオシtrackが選びにくい。とにかく全編かっこよすぎ。最近のアコアスから入った人もぜひに。

Asturias | アストゥーリアス
アーティスト公式。発売案内ページのメイキング・プロモ映像でtrack1の一部試聴可。手作り感あふれていて個人的に好き。
MusicTerm--SHOP--CD--020445
通販サイト内の商品紹介ページ。全曲試聴可。