カテゴリ「サントラ」の記事

『小さき勇者たち GAMERA オリジナルサウンドトラック』(音楽・上野洋子)

 怪獣映画にこの人が?と思いながら、エスノやコーラスワークもありのようなので購入。怪獣映画でハーディガーディやブルガリアンヴォイスが聴けるとは思わなかったよははは。クレジットのところの使用楽器名は「他」なんて省略されてるし。

 ガメラが暴れ回っているであろう後半になると、さすがにトランペットがぱおんぱおん鳴っていたりするけど、お得意のコーラスワークは随所に。「ガメラ」という縛りの中で、「らしさ」も細かく出てはいる。あと正統派?オーケストレーションにこの声が乗るのは珍しいので、そういう聴き所もあるかな。コストパフォーマンス的には判断が分かれるかもしれないけど、わたしゃ「らしさ」全開なtrack1だけで元はとった派。

『風の大陸 オリジナルサウンドトラック Vol.1』(音楽:大島ミチル)

 同名ファンタジー小説を原作にしたアニメのサウンドトラック第一弾。ヴォーカル曲が2曲入っていますが、ここでは触れません。
 オーケストラ調の派手な曲と、シンセ+少数楽器編成の曲が入り交じる構成。個人的にはやっぱ、民族楽器がフィーチャーされた曲が好きだなー。斜陽の大地を思わせるtrack1やtrack4が特に鼻血もの。マンドリン・ブズーキその他のそっち系弦楽器は渡辺等で涙もの。さらにハープにケーナなど、特徴的な民族楽器で異国情緒を醸し出しています。かと思うと、疾走するパーカッションにトランペットが鳴り響くtrack7なんかもあったりして、きっと「引き出し」がいっぱいあるんだろうな。あ、オーケストラ調の曲もいいですよ。
 遠い異国のようでありながらどこの国でもない、いわゆる無国籍調。原作の舞台がそうであるように、「いつかの時代のどこかの国」が浮かび上がってくるような音楽だと思います。廃盤なので、中古で探すべし。

『風の大陸 オリジナルサウンドトラック Vol.2』(音楽:大島ミチル)

 同名ファンタジー小説を原作にしたアニメのサウンドトラック第二弾。第一弾からこぼれてしまった曲を集めた、という印象です。第一弾に比べて曲の構成がかっちりできていないというか、起承転結みたいなものがないというか(一応頭とお尻はメインテーマ曲でまとめているんだけど)。でもその分、個々の曲は粒揃い。
 オーケストラ調の曲が減り、その分(私好みの)小編成ものが増えています。また内容もより民族っぽさが強くなったような……哀愁のアコーディオンで聴かせるtrack2(クレジット見たら思いっきりcobaだった)、胡弓の音が緩やかに流れる大河のようなtrack4、フォルクローレ調のtrack5にオリエント調?のtrack7など、個々の曲はどこかの国や地域の音楽っぽいんだけど、じゃあどこ?と訊かれるとどことも言えない無国籍サウンド。しっとりピアノで聴かせる曲などもあり、そっちもいいです。
 あとヴォーカル曲。2曲とも新居昭乃で、うちtrack13はメインテーマのヴォーカル版になっていていい雰囲気です。
 こういう風にサウンドトラックが2回に分けて出る時って、初めて聴いたときに印象に残るのが最初の方、何回か聴いていくうちにぐんぐん良くなっていくのが後の方、という個人的定説があるんですが(笑)、これもまさにそんな感じ。後からクセになっていく良さだと思います。

『ICO ~霧の中の旋律~』(テーマ曲他:大島ミチル)

プレイステーション2のゲーム『ICO』のサウンドトラック。水彩画のような美しいグラフィックと、BGMをほとんど使わず、風や水のせせらぎなど効果音を効かせた音の演出――あれ、それじゃサントラにするほど曲ないじゃん(笑) でやっぱり、全16曲のうち半分は曲というより効果音、残りも多くが1分前後の短いもので、ちょっと食い足りないかも。
で、オープニング・エンディングの2曲は大島ミチルの作・編曲によるもの。他にも数曲手がけているんですが、そっちは編曲が別の人になっています。
そして、エンディングの方がゲームのCMに使われていて、これを観て(聴いて)やられた人も多いはず。私もその一人。聖歌隊の少年による澄んだ、はかなげな声と、切ないマンドリン(?)が印象的です。郷愁をかきたてるメロディというか……うーん何て言ったらいいんだろう。ライナーノーツによると、「無国籍で中性的な魅力のヴォーカル曲」というオーダーでできた曲らしいんですが、それじゃ分かんないだろうしなあ。ううむ。
個人的にはもう一つの主役、ギター系弦楽器の方を押したい。ギター・マンドリン・ブズーキ等、数種類の弦楽器が切々と紡ぐメロディは、ゲームやってなくても心が震えちゃうと思う。もしかしたら、と思ってクレジット見たら、やっぱり渡辺等。私が弱いわけだ(涙) 案の定、全部一人で弾いてるし……
もちろん、元の曲のよさもあるんですけどね。大島ミチルといえば、NHKスペシャル『生命 40億年はるかな旅』の音楽で有名なのかな? 世界の様々な音楽の要素が感じられつつもオリジナルな作風、らしいです。いつもはわりと壮大なオーケストレーションのイメージが強くて、それには個人的にはぴんとこなかったんですよね。でも今回のは来た来た来たー!て感じ(笑) こういう少数楽器編成のをもっとやってくれないかなあ。
というわけで、上に出てきた名前に見覚えがあったら、あるいはCM観て曲が気になっていたら、ゲームやってなくても「買い」かと。

大島ミチルホームページ (アーティスト公式、試聴可)

光田康典『an cinniuint (アン・キニュント)』

プレイステーション2用ゲーム『つぐない』オリジナルサウンドトラック。サントラ発売はずっと期待されながらも、ゲーム発売元であるSCEIオフィシャルとしては出なかったんですよね。なので、作曲者ご本人がSCEIと交渉して、PS2の音源を使わずリマスタリングして、個人レーベル『Sleigh Bells』からこうやって出ることになったと。ご本人や関係者の尽力に感謝です。ちょっと前ならあきらめるしかなかっただろうに、いい時代になったもんだ。閑話休題。なので、ゲームで聴いていたよりいい音になっているとか。
アイリッシュサウンド中心とのことですが、全編ずっとホイッスルやイーリアンパイプが鳴りまくっているわけではありません(^^;) なので、アイリッシューと構えて聴くと拍子抜けするかも。曲の端々にさりげなくという感じですね。
アイリッシュだけでなく、他の要素も、もっと自由に随所で取り入れているという感じがします。『ゼノギアス』や『クロノ』あたりと比べても。
40曲もあるせいか、やっぱその中でもお気に入りの曲というのが出てきちゃいますね。私だと1枚目のtrack1(オープニング)、track2(眠りの中で)、track6(戦闘・レベル1)、あと町のテーマ曲3部作(朝・昼・夕で少しずつアレンジが違う)とか……メロディラインのはっきりした、音数少な目のが好みかなー。
あとなぜか好みが1枚目に集中してるな(^^;) おそらく、私がゲームをやっていないからというのもあると思います。後半は重要な場面に絡む(とタイトルから想像される)曲が多いようなので、ゲームをやっている人だと、プレイ中の思い出なんかもかぶってまた感想も違ってくるのかもしれません。
今のところ通販しか入手手段がなくて、試聴もできないので迷っている人もいるかもしれませんが、ファンなら買いだと思います。
しかし……ここから数曲に絞って掘り下げたものも聴きたい。と思うのは贅沢だろうかやっぱり。オープニング曲なんか1分20秒しかなくて、もっと聴きたいのにあっと言う間に終わっちゃうしー(涙) 『クロノクロス』もそうだけど、アレンジアルバムみたいなものがつくられないかなーと控えめに期待。いや、そんな簡単なことではないのは分かっているのですが。

Our Millennial Fair (アーティスト公式)

『CHRONO CROSS Original Soundtrack』(音楽:光田康典)

プレイステーション用ゲーム『クロノクロス』のオリジナルサウンドトラック。豪華3枚組。
今回はギター&地中海サウンドをメインに据えているそうですが、アイリッシュやら古楽やらアフリカものやら、世界のいろんなトラッドが混じっているのはいつも通り? 芸幅広し。
RPGのサントラだけあって曲数が半端じゃないんですが、特にお気に入りはこんなところ。
DISC1-1(オープニングテーマ) 草原を駈ける風のような笛の音色にやられる(涙)
DISC3-6・3-15 Kircheのヴォーカル・みとせのりこさんの声にやられっぱなし(涙)
DISC2-11 ゆったり海の上なんです。ギターが。
DISC2-19 マリンバの疾走感が個人的にツボ。
挙げると全曲やっちゃいそうなのでこのくらいで(笑)
ギター抱えて草原と海と、って感じがするのは、ゲームのイメージに引っぱられているからかなあ。プレイ中も、フィールド上で手を止めてしばし音楽を聴いていた私(笑)

Our Millennial Fair (アーティスト公式)

『幻想水滸伝II音楽集 ORRIZONTE』(プロデュース:吉野裕司)

プレイステーション用ゲーム『幻想水滸伝II』から、12曲をピックアップしたアレンジアルバム。実はゲームの方はやったことないんですが、アレンジにVita Novaの吉野裕司・上野洋子が参加となれば、聴くしかないでしょやっぱ。
そして期待を裏切らない出来でした。ブズーキやリコーダーが走るは、叙情的なコーラスが響くは・・・ってもっと何か書き方はないんか(自爆) Vita Novaの古楽ポップがここに復活した感じです。そっち方面好きな人はぜひ聴くべし。
※逆に、元のゲームが好きで、その関連商品として買った人は面食らうだろうなあ・・・ほとんどインスト、歌も英語詞で、キャラの声なんか入ってないし。よくコナミがこれの制作を許可したなあ、という感じ。羽振りいいからかな(爆) ぜひぜひ今後もこういうのをよろしくー。

光田康典『The Brink of Time』

ゲーム『クロノ・トリガー』のアレンジアルバム。『CREID』より前の作品なんですが、私が聴いた順番が逆なもので。
ジャンル的には「アシッド・ジャズ」というらしいです。先鋭的なジャズという印象。他にテクノなんかも混じっているらしいんですが、そこら辺よく分からない私(爆)
 ゲームやった人には、聴き慣れたあの曲がこんなかっこよくなってるー(涙)と感慨を新たにするんじゃないかと。個人的にはやっぱtrack5(原題:時の回廊)だなあ……。

Our Millennial Fair (アーティスト公式)

『.hack// 黄昏の腕輪伝説 オリジナルサウンドトラック』(音楽:吉野裕司・上野洋子)

 同名アニメの音楽集。打ち込み中心+ところどころ生楽器+ところどころ女性ヴォーカルという構成。確か発売前の触れ込みでは「女性ヴォーカルを全面フィーチャー」だった気がするけど、実際はヴォーカル入り半分、インスト曲半分ぐらいかな。ヴォーカルには上野洋子の他、本間哲子・おおたか静流というおなじみの面々が参加。その他、オープニング・エンディング曲と挿入歌も収録されていますが、そっちは割愛。
 元のアニメは初回だけ見たんですが、それを見る限りはコメディ路線。そのせいか、収録曲もコミカルな曲が多いです。「アニメのイメージに忠実な曲づくり」という印象。この人たちが音楽を手がけたアニメは、他に『まりんとメラン』があるけど、あっちは劇伴曲といいながら「ホントにこれ本編で使ってるの?」みたいなのが多かったというか(^^;)、古楽や民族音楽といった持ち味全開だったように思うので、それと比べると今回はちょっと引き気味かな。クレジットを見る限り、今回は共作はほとんどなく分業体制のようなので、そのせいもあるかもしれない。
# 個人的には、アレンジにトランペットが使われていたのにびっくり。私が聴いた範囲では、今までなかったような。
 といいながら、端々にちりばめられたコーラスは聴き入っちゃうんだけどね。唯一、民族調コーラスで構成されるtrack21なんか、よーし来た!って感じだし。あとアルバム中盤あたりは、シリアスな場面の曲が多いのか、コミカルは影を潜めてRPGのサントラを聴いているような感じ。この辺りの曲は好きだなー。
 全体を通して「これ!」と表現できる言葉がみつからないので、正直勧めどころが難しい……少なくとも、古楽ポップや民族ものを期待している人には勧められない。コーラス目当てに聴くには、ちょっと曲数少ないしねえ。個人的にはそれ以外の部分、例えば(ネットゲームが舞台というアニメを意識してか)チープなピコピコ電子音の曲とか好きなんだけど。という煮え切らない感想になってしまった。

Victor Animation Network【m-serve】 (発売元紹介ページ、試聴可)

栗コーダーポップスオーケストラ・Oranges & Lemons『Tribute to あずまんが大王』

 アニメ『あずまんが大王』の劇伴曲をヴォーカル入りにリアレンジ。Oranges & Lemonsのアルバム Co-produced by 栗コーダーポップス てな感じ。まさか全曲歌詞入りとは思わなかった。
 演奏の栗コーダーポップスオーケストラは、リコーダー4人組の栗コーダーカルテット+ゲストメンバー。音楽担当の栗原正巳は栗コーダーカルテットのメンバーで、CMやTV番組の曲を多く手がけている人。
 曲はアニメに合ったポップでコミカル、ほのぼの系が多いです。そして楽器もリコーダーやアコーディオンに加えていろいろ変な楽器が……クレジットを見ると、聞いたこともない楽器の名前もちらほら。track1から素朴なリコーダーやトイピアノの音色。「せーの」でわいわい合奏しているような手作り感、いや手弁当感が高いのはなぜ(笑)
 そしてヴォーカルは、伊藤真澄・上野洋子の2人。普段のソロ活動からは想像がつかないぐらい、かわいらしくはじけてます(笑) track7なんか、言葉遊びのような歌詞もあいまってクセになるー。もいもい。でもtrack10のコーラスワークはさすがという感じ。その他、細かいところで凝っています。
 無理矢理一言にまとめると、カワイイヘンなアコースティックポップス。アニメのアレンジアルバムでよくここまでやったなあ、という濃い内容だと思います。ヴォーカル2名や栗コーダーのファンには、意外な一面を聴くことができるという点でお勧め(逆に、「いつもの彼らを聴きたい」という人には向かないとも言う)。正直、他にはどういう層に勧められるのか真剣に悩む問題作でもあり……私が普段あまり聴かない系統だからだと思いますが。

『NOIR ORIGINAL SOUNDTRACK 1』(音楽:梶浦由記)

TVアニメ『NOIR』のサウンドトラック第一弾。私はアニメの方は観ていないんですが、殺し屋の話だそうで、そのせいか全体的に暗いトーンの曲が多いかな。なお、オープニング曲はALI PROJECT、エンディング曲は新居昭乃がそれぞれ担当していますが、ここでは特に触れません。
で、音楽ですが……基本は打ち込み、そこにコーラスワークを多用しています。ライナーノーツでもご本人が書かれているように、映像作品のBGMでこれだけ人の声が前面に出ているのはめずらしい。ある時はメロディアスなストリングに、ある時は疾走感ある打ち込みリズムに、神秘的な女声コーラスが重なった時のぞわぞわ感たら(涙)
ちなみに歌詞は英語やフランス語らしいんですが、意図的にかどうか、はっきり聴き取れない……見知らぬ異国の言葉のようで、それもまた雰囲気作りに一役買っているような気がします。歌詞なしヴォーカルものが好きな人には感じるものがあるかも。
あと、ところどころワールドミュージックの要素を取り入れているのも特徴的。アイリッシュやフォルクローレ調が多いかな。でもアレンジはあくまで現代的。

●【m-serve】 ノワール● (発売元紹介ページ、試聴可)

『NOIR ORIGINAL SOUNDTRACK 2』(音楽:梶浦由記)

TVアニメ『NOIR』のサウンドトラック第二弾。Vol.1収録曲の別アレンジや未収録曲が入っています。打ち込み+女声コーラス+ワールドミュージックという基本はVol.1と同じ。なのでかなり個人的趣味丸出しの感想など。
Vol.1に比べて肩の力が抜けたというか、より自由に曲づくりをしている印象があります。個人的に、一部の曲でワールドミュージック色が濃くなっているのが嬉しー。track1からパイプのような音が鳴り渡ってそれはもう。track6のオリエンタルな雰囲気、track8の不思議な女声コーラス、アラビアンナイトな(何だそりゃ)track12……等々。
あと、track19の挿入歌もよいです。終わりの力一杯声が伸びるところが特に。歌っている See-Saw は、女性ヴォーカル+キーボードのユニット。名前、どっかで聞いたことあるなーと思ったら、昔はメジャーで活動していたらしい。今はインディーズでたまにライブをやったり、こういうサントラに曲を提供したり……ぐらいの活動頻度なのかな。メジャー時代にリリースされたアルバム、既に廃盤なんだけど聴いてみたかったなー。

●【m-serve】 ノワール● (発売元紹介ページ、試聴可)

伊藤真澄・上野洋子『灰羽連盟イメージアルバム ~聖なる憧憬~』

 タイトル通り、アニメ『灰羽連盟』のイメージアルバム。てっきり劇伴曲のヴォーカルアレンジものかと思ったら、原曲が劇伴曲なのは10曲中3曲だけ(^^;) あとは伊藤真澄・上野洋子がそれぞれ作編曲したオリジナル曲になっています。ヴォーカル入り8曲、インスト2曲。
 私はアニメの方は見たことないんですが……アニメの世界観がそうなのか、全体的にはストリングスやハープを中心にした、清らか優美路線。だけど冷たいわけじゃなく、どちらかというとほわっとした雰囲気があります。眠りに誘われそうな、ゆったりしたテンポの曲が続きます。ヴォーカルもコーラスなどはあまり使われず、シンプルな日本語歌詞もの。何か久しぶりかもこういうの。と言いながら、track1はいきなり多声コーラスで聴き入っちゃうんだけど(笑)
 その他、「水」をイメージしたような音色にひと味加えた(クレジットを見る限り、バスハーモニカの音?)不思議なアレンジのtrack3(作編曲・vo上野洋子)、リコーダーの音色が耳に残るかわいいアレンジ&ヴォーカルのtrack7(作編曲・vo伊藤真澄)……今回は2人の共作は少なく、完全分業体制の曲が多いせいか、それぞれの個性が曲の端々にさりげなく出ているように思います。どちらかのファンはもちろん、アコースティック、クリスタルヴォイス好きにお勧め。

『BRIGADOON まりんとメラン オリジナルサウンドトラック』(プロデュース:吉野裕司・上野洋子)

WOWOWオリジナルアニメーションのサウンドトラック。実はアニメは1回しか観たことないんですが、音楽をVita Novaの吉野裕司(とくればもちろん上野洋子も)が担当、となれば聴くしかないでしょやっぱ。歴史は繰り返す(苦笑)
『Orrizonte』が、他の人が作った曲に吉野氏が古楽的味付けをしたのに対して、こちらは作曲から吉野氏が担当しているせいか、もっと色が出ていますね。古楽、女声コーラス、民族音楽、テクノ、と、Vita Novaのアルバム4作がここに集結したって感じです。と書くと、ジャンルめちゃくちゃで統一性がないように聞こえますが、そんなことはありません。それがすごいと思う。
個人的には2の方が好きかなあ・・・というのは、アニメ本編はちゃんと見ていないんですが(爆)、おそらく後半になって舞台が異世界に移ったりして、そういう雰囲気の曲が2の方により多く収録されているようなんですよ。だから異国調のヴォーカルワークとかが随所にあってツボ(涙) あと、2のtrack10の曲でリュートに目覚めたのもあり。
メンバーも「こっち系」の人たち勢揃いで豪華。「アニメ」というところに躊躇したらもったいないです。がんばってショップのアニメコーナーに行くべし。

光田康典『Sailing to the World』

 台湾のPCゲーム『第七封印』から、自身が作曲を担当した10曲を収録。バトル曲やエンディングなど、いわゆるおいしいとこ取り(笑)の担当だったようで、結果的に起承転結を持った、ゲーム全体を概観できるような曲構成になっているんじゃないかと思います。いや、ゲームの方はやったことないので想像ですが。
 やはりヴォーカル曲のtrack2,10が強烈です。track2はゆったりしたバイオリンに、track10では静かで力強いギターとバイオリンに、それぞれ遠い異国の地へ誘うような民族調の声が重なってこれがたまらない(涙) 何となくゲームの世界も見えてくるような。
 インスト曲はいつも通りというか、『クロノクロス』・『an cinniuint』の流れを受け継ぐ音楽という感じ。部分的にどこかの民族音楽のようであって、でも全く違う。こういうのを何て言うのか分からず。すいません。
 ピアノとバイオリン(実際はシンセの音)がゆるゆるとたゆたうような水を思わせるtrack3、打楽器系のリズムとギターの導入部からシンフォニックに展開するtrack4、あたりが個人的好み。あと、ど派手なオーケストラ曲?のtrack6(もしかしてこれがバトル曲かな)なんかも印象に残ります。
 一つだけわがままを言えば、10曲中2曲がヴォーカル曲のアレンジ違いだったのがちょっと残念。映画やゲームの音楽でアレンジ違いはよくあるけど、10曲という少ない曲数の中だとやや耳につくというか。まあこれは本当にわがままってことで。
 収録時間が短いのがファンとしては物足りないけど、その分よくまとまっているので、今まで光田音楽を聴いたことのない人に、手始めに勧められるアルバムかなと思います。あ、もちろんファンなら買いということで。

Our Millennial Fair(アーティスト公式)

『Lamento O.S.T. -The World Devoid Of Emotion-』(音楽・ZIZZ STUDIO)

 Amazonのおすすめに出てきて、美少女系はともかくなぜBL系が……と思ったら、Acoustic Asturiasメンバーの参加度が高いらしい。レビューなど見つつ購入。

 レビューで言われているほどケルトではないと思うけど、民族度は高い。生楽器もよし。ところどころ女性ヴォーカルフィーチャーなのもマル。サントラ、しかも2枚組というボリュームなのでややダレるところもあるけれど、個々の曲に聴き所あり。民族系ゲーム音楽好きにもお勧め。

Lamento O.S.T. -The World Devoid Of Emotion- (ZIZZ STUDIO、トラックごとの作曲者一覧あり)
Lamento公式(注:18禁)のプロモムービーで試聴可。

『ドルフィンブルー~フジ、もういちど宙へ~/ちゅらうみ~沖縄美ら海水族館への招待~ オリジナルサウンドトラック』(音楽:上野洋子)

 尾ひれをなくしたイルカの復活への道のりを描いた映画『ドルフィンブルー』と、その舞台となった水族館のドキュメンタリー『ちゅらうみ』。その両方のBGMを収録。

 『ドルフィンブルー』の方はその旨監督のオーダーもあったようで(ライナーノーツより)、かなりシンプル。ギターだけとかハープとボイスだけとか。全体的にゆったり、眠くなる曲が多いけど、いつものブルガリアンヴォイス曲も1曲あり。この人にしては音数少なく、ある意味実験的。

 『ちゅらうみ』の方は割と盛り上がりに欠けるというか、打ち込みメインの平坦な曲が多い。ドキュメンタリーのBGMだからかね。水族館の映像と合わせるとぴったりなのかもしれないけど、音楽のみだとやや退屈な感じも。個人的には、仕事その他のBGM用かなあ。

 そんな感じで、ファンなら聴いてみると面白いかも、というアイテム。

uenoyoko (アーティスト公式、通販あり)

VA『アルトネリコ2 ヒュムノスコンサート 焔/澪』

 ヴォーカル曲とインスト曲が半々だった前作『アルトネリコ ヒュムノスコンサート 紅/蒼』と比べ、ほぼ全編ヴォーカル曲。ますます濃い仕事してます。

 『澪』の志方あきこパートは、本人プロデュースと言ってもいいぐらい作・編曲まで深く関わっていて、ヴォーカルも楽器扱いの壮大な歌劇。やっぱり『RAKA』っぽいかな。「コワレロー」とか入っているダークな奴が好み。その一方で、石橋優子パートはシンプルアレンジ、柔らかいヴォーカルでしっとり聴かせる。こっち方面の歌い手では、実は珍しいタイプかもしれない。

 『焔』は、民族テイストを随所に効かせつつもバラエティ豊か。中東風味の妖かしエスニックもあれば、アコーディオンや手拍子?が入った素朴トラッド風もあり……の霜月はるかパートに対して、ロック調のヘビーでハイテンションな曲が印象に残るみとせのりこパート(ファン的には、普段あまりない曲調なので一聴の価値あり)。とはいえどちらも、いつも通りのホーリー多重コーラスはもちろん健在。またコーラス抜きでシンプルに聴かせる曲もあったりして、何てサービス満点なの。

 クリスタルヴォイス・民族・ファンタジー・多重コーラス……といったキーワードに弱い人に、直球ど真ん中狙いすぎな1作。いや2作か。

アルトネリコ2ヒュムノスコンサート特設サイト (試聴あり)

『BGM8』(無印良品)

 無印良品の店内BGMシリーズ、一時期ワールドミュージックでやっていたことがあって、その中のスウェーデントラディッショナル編。

 スウェーデン方面は初めて聴いたんだけど、アイリッシュに比べてやや素朴でどんよりしたバイオリンやフィドルの重なりが何かツボ。特にtrack6,7あたりが暗めで好みだ。とはいえ無印だから、トラッド的泥臭さはだいぶ薄まっているんだろうけど。

 参加メンバーも豪華。ガルマルナのヴォーカルとかヴェーゼンとか。これで税込1,050円。値段で聴くものじゃないとはいえ、どうしようか迷っている層には確実に響く値段。お試しにはいいと思う。

お店で流れているBGMについて “BGM-アノニマスの素晴らしさ” (シリーズの紹介など)
無印良品ネットストア[BGM8スエーデントラディッショナル] (試聴あり)