カテゴリ「ファンタジー」の記事

みずさわゆうき『cascade』

 Kircheな人々が参加しているというので購入。

 民族風味や3拍子を多用しつつ、そうでない曲(おそらく過去作品の再録)も多い、かな?随所にちりばめられたコーラスににやりとしつつ、そっち系歌姫には珍しい中音域の声もいいなあと思ったり。正直、一聴したときはそれほどでもなかったのに、何回か聴いているうちにハマってきた。スルメだ。

 やはり好みはKirche節全開のtrack7……と見せかけて、実はtrack4みたいな3拍子多重コーラスものに弱いのです。

みずさわゆうきソロアルバム[Cascade] (試聴あり)

Kirche『Coloured Water』

クリスタル・ヴォイスと深遠なシンセサウンドが響き合うKircheの事実上のファーストアルバム(元はデモ曲集だったらしい)。
デモとは思えない完成度の高さにまず驚き。『Pleiades』に比べれば、そりゃ多少頼りないところはあるけど(笑)それを補ってあまりある出来だと思います。
そして、元々コピーしていたzabadakの影響が窺えながらも、この時点で既にKircheの世界を築いていたんだなと感じます。『Pleiades』と曲構成が似ていたりするのもそれ故か・・・次のアルバムではひとつ、冒険なんかもしてほしいなあとか勝手に希望。
全体的に春っぽい曲が多いかな。個人的には、track4『花降る森で』は桜の季節の昼のテーマ曲。zabadakの『桜』が「夜桜の妖し」なら、これは「春陽に舞う桜の狂気」。

kirche web~架空庭園~ (アーティスト公式)

Kirche『Pleiades』

セカンドアルバム。当たり前だけど、『Coloured Water』に比べて、Kirche独自の色が強まっている。アイリッシュトラッド色のtrack9やアジアっぽいtrack6など、芸幅が広がった感じ。
ジャケットに引っぱられているのか、全体的に澄んだ青のイメージですね。聴いていると、自分まで青く透き通っていくような。気になったら迷わずネットで試聴!

kirche web~架空庭園~ (アーティスト公式、試聴可)

Kirche『Schwartz Nacht』

 前作からさらに3年ぶりのマキシシングル。track1の力強さにただ圧倒。ミステリアスなバイオリンで幕を開け、ヴォーカルと生楽器が怒濤の展開を見せる……風景というよりドラマが見える感じ。魂持っていかれるー。
 track2はライブの定番曲ということもあり、ライブ感を大事にしたという話だけど……確かに笑っちゃうぐらいライブ感が。今までCDでしかKircheを聴いたことのない人には、あれ?という感じかも。
 そしてtrack3、ヴォーカルとアコースティックギターのみのシンプル&ショート曲。細く伸びる声に、キュッと鳴るギター。何かやけにzabadakな感じがしたのはなぜだろう。
 最近のメンバーのソロ活動や別ユニット活動などが、わりと繊細さを前面に出していたように思うので、それとの対比でよけいに力強く感じるのかもしれません。でも、荒っぽいとかではなくてあくまで美しく。Kircheとは何か、を再確認した感じです。初めての人にもお勧め。

kirche web~架空庭園~ (アーティスト公式、試聴可)

木屋響子 with 上野洋子『3/8 Forests』

 遠い昔にKYOKO Sound LaboratoryをTVCMで見かけてずっと気になっていたところに、ヴォーカル・コーラスに上野洋子参加ということで初めて聴いてみる。確か当時はヴォーカルの多重録音って珍しくて、「日本のエンヤ」とか言われてたんだよねこの人。閑話休題。
 不思議系J-Pop。澄んだヴォーカル、多重コーラスにシンセの幻想的な曲……なんだけど、とかではない。何というか、緻密な計算の元に作り込んでいる感じがします。
 あと、どこか懐かしい感じの音色も特徴的、かな。「ニューミュージック」というジャンルがあった頃の音っぽい気がするのは、前述の昔の記憶のせいなのか。
 ハープのような涼しげな音色&声から突然民族調ライライコーラス(何だそりゃ)に展開するtrack1が個人的好み。公式サイトには、今後アルバムの予定もあるようなことが書かれているので、ぜひライライ系希望。

木屋 響子 web サイト (アーティスト公式、試聴可)

kukui『ゆめわたりの夜』

 refio+霜月はるか と中の人は一緒だったりして。イラストレーター・ひろせたくろうの絵(ジャケット絵も担当)からイメージをもらってできた曲、とのこと。
 ジャケットの絵そのままというか、ほのぼの童謡系。track1はヴォーカルもかわいらしく、バックもトイピアノやオルガンっぽい音で、でもどちらかというと大人の童謡という感じ。track2はやや不思議路線で、子守歌のような、ゆったり静かな曲。個人的にはこっちが好みかも。
 2曲しかないのが惜しいぐらいいい雰囲気なので、今後に期待。しかしこのユニット、「ひろせたくろうの絵からイメージをもらう」ところもコンセプトなのか、それはたまたま今回だけで次回はそういうのなしで行くのか、そこらへんがちょっと知りたいかも。

kukui official site.... (アーティスト公式)

みとせのりこ『ヨルオトヒョウホン(夜音標本)』

 ソロでは初のアルバム。過去のソロ作品をリアレンジし、影響を受けたアーティストたちから曲提供を受け、さらに自らのルーツとなる唱歌を入れたりして、バラエティに富んだアルバムとなっています。
 無伴奏ポリフォニー(というのね知らなかった(爆))から始まり、プログレ、アイリッシュ、無国籍風、ポップス……クラシカルなしっとりメロから、今までからは想像できなかったロックサウンドまでも自在に歌いこなす。クリスタルヴォイスというとか弱いイメージがあるけど、全然そんなことなく力強い。多様な曲に沿いながらも呑まれることなく、それがアルバム全体の統一感を生んでいる。まさしく「ヴォーカルアルバム」。
 曲も上記の通り、やりたい放題の濃いラインナップで個人的に大満足。「特にこの曲が好き」が挙げられないぐらいなので。強いて挙げれば、楽器少なめのtrack1とか6かなあ。でも無国籍track2とかも好きだし……閑話休題。
 ゲームの主題歌等でこの人を知ったというファンも多いと思うけど、そういう、音楽的にノンケの人(笑)は唖然とするんじゃないかと微妙に心配しつつ、これを機にそっち方面にハマるとよし。逆に、この歌い手知らないけど作曲陣が気になる人たちかも、という人にも勧められると思います。

ヨルオトヒョウホン:::top (アーティスト公式内紹介ページ、試聴可)

ORITA『Phill』

 ゲーム音楽などを手がける作曲担当 & Kircheでおなじみ作詞・ヴォーカル担当 のユニット――と微妙にまわりくどい書き方をしてみる(笑) そのファーストミニアルバムです。
 音はほとんど打ち込み。クラシカルで優美なアレンジですが、中でも切々としたピアノの音色が耳に残ります。ジョージ・ウィンストンを何となく思い出してみたり。って他にピアノソロ知らないんだけど。
 そこに伸びやかなクリスタルヴォイスが絡めば、必然的に「透明感」がキーワードになるわけで。どこまでも美しく透き通った音風景を追求しました、という感じ。
 あと、メロディが特徴的な気がします。変拍子を多用しているのもさることながら、何というか、セオリー通りでないというか、「え、ここでこう来るの?」というか……うまく言えないんですが。不思議な雰囲気を醸し出しています。
 今作は似た雰囲気の曲が多い(といっても5曲だけど)ので、次作でどんな展開を見せるのかにも期待。美しいけどいわゆる癒し系とはちょっと違う、幻想的な音楽です。
余談:初めてジャケット見たとき、「え、もしかしてカラープリンタで手刷り?」と思ってしまった私(爆) そういうフィルタかけてるのね、デザインとして。

ORITA Official Website (アーティスト公式、試聴可)

refio+霜月はるか『透明シェルター』

 ゲストヴォーカルを迎えての新生refio第一弾。タイトル曲であるアニメのエンディング曲の他、2曲も収録されていて結構幸せ。閑話休題。
 track1は無機的な電子音とストリングスが絡みあい、疾走していく曲。ただ劇的に盛り上がる感じじゃなくて、淡々とアップテンポなのが、何というかrefioっぽい。このどこか醒めた感じが好きです。透明感のあるヴォーカルも、モノクロ感にぴったり沿っています。
 続くtrack2はストリングスメインの暗い曲で、個人的には「レクイエム」という言葉が思い浮かぶ感じ。そしてtrack3は、SEのようなバックにぽつりぽつりとヴォーカルが浮かぶ、趣味全開な散文詩的不思議世界。あ、コーラスワークも健在です。

伊藤真澄・上野洋子『灰羽連盟イメージアルバム ~聖なる憧憬~』

 タイトル通り、アニメ『灰羽連盟』のイメージアルバム。てっきり劇伴曲のヴォーカルアレンジものかと思ったら、原曲が劇伴曲なのは10曲中3曲だけ(^^;) あとは伊藤真澄・上野洋子がそれぞれ作編曲したオリジナル曲になっています。ヴォーカル入り8曲、インスト2曲。
 私はアニメの方は見たことないんですが……アニメの世界観がそうなのか、全体的にはストリングスやハープを中心にした、清らか優美路線。だけど冷たいわけじゃなく、どちらかというとほわっとした雰囲気があります。眠りに誘われそうな、ゆったりしたテンポの曲が続きます。ヴォーカルもコーラスなどはあまり使われず、シンプルな日本語歌詞もの。何か久しぶりかもこういうの。と言いながら、track1はいきなり多声コーラスで聴き入っちゃうんだけど(笑)
 その他、「水」をイメージしたような音色にひと味加えた(クレジットを見る限り、バスハーモニカの音?)不思議なアレンジのtrack3(作編曲・vo上野洋子)、リコーダーの音色が耳に残るかわいいアレンジ&ヴォーカルのtrack7(作編曲・vo伊藤真澄)……今回は2人の共作は少なく、完全分業体制の曲が多いせいか、それぞれの個性が曲の端々にさりげなく出ているように思います。どちらかのファンはもちろん、アコースティック、クリスタルヴォイス好きにお勧め。

『FINAL FANTASY VOCAL COLLECTIONS I -PRAY-』

RPG『ファイナルファンタジー』シリーズ1~6から11曲を選んで、ヴォーカル曲にしたもの。原曲の作曲者である植松伸夫は選曲のみで、作詞やアレンジは別の人がやっているみたいです。
大木理沙のヴォーカルワークがいいです。1.はゲームをやったことのある人ならおなじみのオープニング曲なんですが、そこに幾重にも声が重なるとこんなに世界が広がるのかと驚きました。豊かな表現力で他の曲もゆったり、しっとり歌い上げています。ゲームのシリーズ9作目では、白鳥英美子が歌うテーマ曲が話題になりましたが、あれが好きならこちらもいい感じじゃないかと。
あと、アコースティックなアレンジも私の好み。敢えてかどうか分かりませんが、少数の楽器でシンプルなアレンジにしたのが正解だと思います。ところどころ冒険しつつ(ボサノバ調とか)よくまとまっていますね。ゲームに何らかの思い出がある人も、裏切られることなくひたれると思います。

『FINAL FANTASY VOCAL COLLECTIONS I -PRAY-』

ヴォーカルアルバム第2弾。大木理沙+野口郁子のヴォーカルワークに、前作からさらに進化したアコースティックの世界、らしいです。いや、いいんですけど、全体的にアレンジが豪華というか派手というか、オーケストラ使うようになってしまったので、個人的にはIの方が好みだなーと。
あと、FFシリーズ共通のテーマ曲(今回のアルバムだとtrack10)は、他にもいくつか別バージョンがあるので、聴き比べてみたい人は、植松伸夫ソロアルバム『ファンタスマゴリア』のtrack10もどうぞ。こちらのヴォーカルは葛生千夏。私はこのバージョンが一番好きです。

Noriko Mitose / Ena Tada / Toshihiko Inoue『疑似少女楽園廃墟』

 kircheの2人+サポートメンバーによる限定CD。アンドロイドをテーマにした人形展のためにつくられた3曲を収録。
 おなじみ?の多重コーラスつきでひたすら耽美なtrack1。「もしも願いが~」のくだりは個人的よろめきポイント(^^;) クラシカルなピアノ曲のtrack2が続いた後、track3でがらっと変わります。無機的で錆びた未来を思わせるようなプログレ。ヴォーカルもやや低めでブルガリアン・ヴォイス的。Kircheじゃたぶん聴けない世界。濃くて好きだー。
 と、3曲だけどやたら濃いCD。限定ものということで再プレスでもされない限り入手困難なのだけど……もし機会があったらぜひに。

幼虫社『廃園』

 京都で活動する2人組ユニットのアルバム。どちらかというと、最近の発表曲を集めたデモアルバムに近いかもしれません。最初から1枚のアルバムにまとめることを念頭に置いたのではなく。
 どこかのファンサイトで、日本的なメロディをよく用いていると書かれているのを見たことがあるけど、このアルバムについてはそうでもない。また、めずらしく詞に言及すると、その世界は独特。「喪失」や「死と再生」みたいなものをモチーフにしているものが多い気がする。何となく。
 澄んだ細めの女性ヴォーカルに打ち込みアレンジ。一部インスト。古びた洋館に響き渡るような鐘の音から始まり、ところどころシンフォニックだったり疾走感があったりしつつ、時にノイズのような音を挟みつつ、全体的には妖しく混沌とした雰囲気。
 そう、打ち込みの曲ってわりと整然と、さっぱりした感じになりやすいと思うんですが、こちらはどういうわけかどろっとした、カオスのようなものを感じます。他に喩えがたい、不思議な音空間。

幼虫社 (アーティスト公式、試聴可)

志方あきこ『RAKA』

 エスノで多重コーラスというツボど真ん中な世界なんだけど、特徴的な歌い方が好みではなく、今までアルバム購入に踏み切れなかった人。でも今作を試聴したら、コーラス多めでその特徴が気にならないので買ってみた。

 これでもかと重ねられた音、凝らされた技巧。徹底的に作りこまれた荘厳な世界。この(いい意味で)つくりもの感は木屋響子に似ている気がする。閑話休題。完成度高く、どっぷり浸れます。

… Akiko Shikata 【 RAKA 】 … (アーティスト公式内特設サイト)

kukui『Leer Lied』

 kukui名義のファーストアルバム、かつアニメ『ローゼンメイデン』に提供した曲をまとめたもの。

 アニメの方は全く観ていないのだけど、多かれ少なかれそのカラーを反映した曲作りになっていると思われ……全体的には落ち着いた、暗めのトーンでややこぢんまりとした感じも。その中で、一部キャラクターのイメージソングが突然ポップで浮いていたり。ここらへんは企画ものということで仕方ないのか。

 といいつつ、個々の曲は何回か聴いているうちにじわじわ来るものあり。打ち込みの随所に生ストリングが映え、さらにふわっとしたコーラスが心に響く。そしてありそうでないメロディラインがツボなのです。

Leer Lied (レーベルのアルバム紹介ページ)
kukui official site.... (アーティスト公式)

kukui『箱庭ノート』

 セカンドアルバムだけど、オリジナルと呼べるものとしては初? アニメ・ゲームへの提供曲と新曲がほぼ半々という構成。

 track1に代表されるように、全体的に明るく柔らかい印象の曲が多い。色ならパステルトーン、季節なら春。前作よりヴォーカルの声質がよく生かされていると思う。これでもかと詰め込まれたコーラスにストリングアレンジもますます美しく、ハープまで入ったりして。かと思うとチープなピコピコ音もあり、それらがごく自然に同居している不思議なファンタジー系ポップス。

 個人的一押しは、ベタだけどやっぱりtrack4かな。出だしのギターと、ぎりぎり不協和音でないところを行くサビのコーラスが無条件に好き。

箱庭ノート (レーベルのアルバム紹介ページ)
kukui official site.... (アーティスト公式)

VA『アルトネリコ2 ヒュムノスコンサート 焔/澪』

 ヴォーカル曲とインスト曲が半々だった前作『アルトネリコ ヒュムノスコンサート 紅/蒼』と比べ、ほぼ全編ヴォーカル曲。ますます濃い仕事してます。

 『澪』の志方あきこパートは、本人プロデュースと言ってもいいぐらい作・編曲まで深く関わっていて、ヴォーカルも楽器扱いの壮大な歌劇。やっぱり『RAKA』っぽいかな。「コワレロー」とか入っているダークな奴が好み。その一方で、石橋優子パートはシンプルアレンジ、柔らかいヴォーカルでしっとり聴かせる。こっち方面の歌い手では、実は珍しいタイプかもしれない。

 『焔』は、民族テイストを随所に効かせつつもバラエティ豊か。中東風味の妖かしエスニックもあれば、アコーディオンや手拍子?が入った素朴トラッド風もあり……の霜月はるかパートに対して、ロック調のヘビーでハイテンションな曲が印象に残るみとせのりこパート(ファン的には、普段あまりない曲調なので一聴の価値あり)。とはいえどちらも、いつも通りのホーリー多重コーラスはもちろん健在。またコーラス抜きでシンプルに聴かせる曲もあったりして、何てサービス満点なの。

 クリスタルヴォイス・民族・ファンタジー・多重コーラス……といったキーワードに弱い人に、直球ど真ん中狙いすぎな1作。いや2作か。

アルトネリコ2ヒュムノスコンサート特設サイト (試聴あり)

志方あきこ『廃墟と楽園』

 以前は特徴的な歌い方が気になり聴いていなかったんだけど、『アルトネリコ』や『RAKA』を経て気にならなくなったようなので。この頃は高音域メインで、声自体もわりと細い感じだったのが気になった理由なのかな。

 内容的には『RAKA』の原型というのか、十八番の多重コーラス+民族。唯一、track5がわりと牧歌的でちょっと意外かな。

廃墟と楽園 (アーティスト公式、試聴あり)